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[ G20大阪サミット vol.2 ]世界の市民社会組織の声はG20諸国に届くのか-30カ国400名が策定に関わった提言書の中身と期待される成果

連載2019.06.24

4月18日、今年のG20開催国日本の岩附由香C20議長、翌年の開催国サウジアラビアのアブドゥッラー王女C20議長、前年の開催国アルゼンチンのバレリア・ミラネスC20議長から、安倍晋三・内閣総理大臣に世界の市民社会の政策提言書を手渡した。 Photo by 江口直宏

20カ国・地域の首脳が集まり、世界の政治や経済、外交について話し合われる「G20サミット」が2019年6月28日・29日に、日本で初めて開催される。NGOなど市民社会組織(CSO)にとってどういう機会となるのか。連載を通して追っていく。


世界40カ国からのべ800名以上が参加したC20サミット

4月21日(日)から3日間に渡って東京で「C20サミット」が開催された。世界40カ国からのべ800名以上が参加し、市民社会によるG20首脳への提言を発表し、互いに議論を交わした。9つの全体会、17の分科会、160名以上の登壇者による議論は、日本で初めて開催されるG20サミットに向けて、世界から貧困や格差をなくし、地球環境問題に取り組み、誰ひとり取り残さない経済や社会をつくるための提案にあふれていた。


3日間のC20サミットには、G20諸国以外の国・地域からの参加も多数あり、のべ800名以上が参加した。 Photo by MappyPhoto

C20サミット初日は、SDGゴール16や市民社会スペースについて議論する「東京民主主義フォーラム」としても開催され、平和、人権および民主的ガバナンスに関する東京宣言が採択された。2日目には阿部俊子外務副大臣にC20政策提言書が手渡され、G20サミットの実質的な中身を準備しているシェルパと呼ばれる外務省官僚や、財務大臣会合を担当する財務トラックの財務省官僚との対話が行われた。

C20サミット3日目に開催された、財務トラックとのハイレベル・パネルでは、G20サミットの財務面の議論を形成する財務省国際局審議官と市民社会の対話が行われた。 Photo by MappyPhoto

30カ国から400名を超える市民社会組織が関わった提言書の策定

G20サミットに向けて、市民社会からの提案をまとめ、C20サミットで発表されたC20政策提言書(C20 Policy Pack)は、今年のC20で設置された10のワーキング・グループ(WG)と一つのタスクグループでつくりあげてきた。昨年のアルゼンチンC20で強固な基盤を持つ市民社会によって策定された、反腐敗や環境・気候・エネルギー、教育、ジェンダー、国際保健、インフラ、国際財政制度、市民社会のあり方に関する提言を引き継ぎ、最新の状況に照らし合わせた上で提言書のアップデートを行った。

今回は教育・雇用・包摂WGを教育と労働・ビジネスと人権WGに分け、新たに貿易・投資WGとデジタル経済タスクグループが設置された。これにより、もともと世界貿易や金融に関する会議体であるG20サミットの議題により対応した提言書を作成することが可能となり、市民社会からの提言内容に厚みが増した、と言うことができる。

また、提言は世界中から30カ国400名を超える参加者がオンライン上で議論を交わし、日本国内および国際コーディネーターによる論点の整理や修正意見の受付を経て、策定された。各WGは、膨大な意見を統合、取捨選択し、世界中から集まる市民社会組織と共同で論点を積み上げ、決められた分量に収まるよう努力した。

筆者は、主に、市民社会のあり方を提言する、地域から世界へWGの提言作成に関わり、日本、アルゼンチン、カンボジア、マレーシア、インドネシア、インド、サウジアラビアなどの市民社会組織関係者と共に提言案を練りあげていった。カンボジアやマレーシアはG20参加国には含まれないが、これらの国が参加するASEANの議長国としてタイがサミットに参加することや、市民社会スペースが狭まっているとの認識から提言書作りへの関わりを申し出てくれた。

貿易・投資、デジタル経済、国際保健、海洋プラスチックなどG20の主要議題をカバー

政策提言書は、貿易・投資、デジタル経済、国際保健、海洋プラスチック規制など、今年のG20の主要議題の多くをカバーした。

詳細を見ていきたい。環境・気候・エネルギーWGでは、パリ協定が定める1.5℃の気温目標に沿うよう温室効果ガス排出量を削減する行動や、海洋プラスチック汚染を削減することが提言された。インフラWGでは、日本政府が推進する“質の高いインフラ”に関する原則について、社会的および環境的影響を特定・軽減・管理する参加型プロセスを盛り込むことや、G20各国の政府が効率的で透明性が高く、説明責任を確保した公共調達へのコミットメントを果たすよう求めている。

地域から世界へ(Local2Global)WGでは、昨今、日本でも議論がされつつある市民社会スペースの課題に加え、銀行によるリスク回避行動(バンク・デリスキング)が盛り込まれ、世界中の非営利組織(NPO)にとって関心の高い金融活動作業部会(FATF)による「マネー・ロンダリングおよびテロ資金供与対策(AML-CTF)」に関連して、バンク・デリスキングがNPO にもたらす悪影響を認識・調査し、取り得る対応戦略を検討することをG20各国に提言している。

貿易・投資WGでは、搾取労働による不当に安価な製品を排除することで労働者の権利を保護することを貿易協定に盛り込むよう求め、“保護貿易 対 自由貿易”という誤った対立軸で議論するのではなく、また、新自由主義モデルによるグローバル化よりも人々と地球環境のための持続可能性を追求すべきである、と提案している。デジタル経済タスクグループは、デジタル企業が所有権・占有権をもつプラットフォームに起因するプライバシーなどの人権侵害を抑制する政策や、デジタル企業のアカウンタビリティを確保するルールを導入するよう求めている。

首脳たちに、地球規模の課題に対し、市民民社会と多くの取り残されている人びとと地球規模で取り組むために、多国間主義、民主主義、市民的権利、透明性や公開性といった共通の価値観が必要であると提言。

安倍首相「G20で議論すべきことが政策提言書に入っている」

これまでの慣例として、C20の提言活動による最大のハイライトは、C20サミットで、G20議長国の大統領や総理大臣に政策提言書を直接渡し、市民社会と対話をすることだ。今年は総理大臣のスケジュールの都合上、C20サミット開催直前にC20代表団が官邸を訪問し、政策提言書を手渡し、短い時間ながらも対話を行った。

岩附由香C20議長からの「政策提言書に中身をぜひG20に反映させてほしい」というメッセージに対し、安倍首相は、「皆さんの提言には、G20で議論すべきことがしっかりと込められている。第4次産業革命とグローバル経済があいまって格差が拡大する懸念は承知している。G20として自由貿易、包摂的成長を実現するための議論をしたい。G20各国の違いはあるが、日本の調和の精神を持って、協調しあえる点を探し、大きな目標に向けてともに取り組んでいきたい」と答えた。

C20サミット開催に先立ち、C20代表団が首相官邸を訪問し、政策提言書を手渡した。アルゼンチン、日本、サウジアラビアの市民社会に加え、C20国際保健ワーキング・グループや反腐敗ワーキング・グループのコーディネーターも参加した。 Photo by 江口直宏

市民社会組織のG20への訴えは届くのか?

C20サミットで政策提言書を発表した後、横浜でのシェルパ会合でC20として意見を表明したり、つくばでのG20デジタル経済作業部会やメキシコで開催されたG20腐敗対策作業部会で提言を行ったり、日本の国会議員向けに国際保健に関する勉強会を開催したりと、さまざまな場面で政策提言を行ってきた。

具体的な政策の変化として、海洋プラスチックごみ対策が挙げられる。5月31日に開催された「海洋プラスチックごみ対策の推進に関する関係閣僚会議」で発表されたアクションプランでは、「被覆肥料の被膜殻をほ場外に流出させない取組について、関係団体とも連携しつつ、情報発信による普及・啓発を行う」ことが盛り込まれた。これは、C20環境・気候・エネルギーWGによる「生分解性プラスチックは環境に放出させず、分別回収し、処理すること」という提言に沿った内容であり、環境省の担当官に対して情報提供を行ってきた活動の成果だと言える。

今後は、6月28、29日に大阪で開催されるG20サミット首脳会合で発表されるコミュニケ(声明)にどの程度、市民社会からの提言が盛り込まれるのか、また、それらを受けて各国における政策や制度にどのような変化が生まれるのかを、C20として注視しつつ、各国から集まるメディアに対し、市民社会の視点から情報提供を行っていく予定だ。合わせて、6月25,26日に開催される「G20大阪市民サミット」においても、関西のNGO/NPOと協力しつつ、C20による提言内容を発信していきたい。


C20政策提言書(C20 Policy Pack)
原文(英語) / 日本語訳

G20大阪市民サミット
https://g20ocs.jp/

連載 G20大阪サミット
vol.1 G20大阪サミットに向けた日本の市民社会組織(CSO)の挑戦

JANIC正会員団体

特定非営利活動法人 Accept International

Specified Non-profit Organisation Accept International

前身 日本ソマリア青年機構設立より10年 【アクセプトは、武力ではなく平和的なアプローチで、テロと紛争の解決を目指す国際組織です。】

■テロの無差別性、残虐性 近年のテロ組織は、一国内に限定されず全世界的な規模となっています。無実の民間人を積極的に狙うとともに、想像もできないほどの残虐な行為を用いて、恐怖と数えきれないほどの犠牲を生み出しています。​例えば、ソマリアでは今この瞬間、10歳や15歳ほどの子どもが自爆テロを実行しています。人間としての尊厳を踏みにじるような残虐な行為が今この瞬間、行われています。

■様々な問題を引き起こすテロと紛争 テロと紛争は直接的に人々の命を奪うだけでなく、貧困や飢餓、社会の断絶、難民、子どもの権利の侵害など様々な問題をも引き起こします。日常的に飢餓に苦しむソマリアでは、定期的に飢饉が発生しています。その飢饉の最も深刻な原因の一つは、テロ組織が支援を妨害することによります。また近年、世界的にイスラム教への不安意識が高まっていますが、これもテロ組織の脅威によるところが大きいのです。

■テロと紛争の解決に取り組む組織の欠如 極めて深刻な問題であるテロと紛争ですが、それらの解決に対し取り組みを行うNGOは、日本はもとより世界的に見ても非常に少ないままです。 理由としては、まず危険であることや、取り組みにおいて有効なアイディアが見つからないこと、社会から共感を得るような分野・対象でないこと、など様々あります。しかし、国連や政府といった政治的なアクターが時として機能不全に陥ってしまう現代でこそ、NGOとして取り組む必要があると私たちは考えています。

■アクセプトは、武力ではなく平和的なアプローチで、テロと紛争の解決を目指す国際組織です。 私たちは、大学生と社会人それぞれの強みを活かし、平和的なアプローチでテロと紛争を解決するために活動を行う日本で唯一の組織です。​排除するのでもなく、武力で駆逐するのでもなく、「受け入れる(アクセプト)」という姿勢を活動の軸としています。取り組みニーズは非常に高いものの様々な理由で世界から見放されている国・地域や、疎外されている人々が存在します。私達は、ソマリア、ケニア、インドネシアを舞台に、テロ組織から降参した兵士やギャング、国内避難民など社会に居場所がない人々に対して取り組みを行っています。

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