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[アカウンタビリティ vol.1 ]今求められるNGOのアカウンタビリティとは

連載2019.04.26

公的資金によるNGOの支援制度が整備された1990年代半ばから、NGOに求められるようになったアカウンタビリティ。これまでNGOはドナーへの説明責任としてアカウンタビリティに取り組んできた。今、求められているNGOのアカウンタビリティとは何か。連載を通して考える。


発覚する不祥事、失われる信頼

2018年、NGOの信頼を揺るがす事件が明るみに出た。オックスファムがハイチなどで起こした不祥事である。さらに、日本でも資金使用に関するNGOの不祥事が発覚した。不正や不祥事はあらゆる組織で発生する可能性がある。しかし、“公正”や“公平”に重きを置いて活動する存在がNGOであるだけに、不祥事や不正がその信頼に与える影響は大きい。

NGOに対する信頼の低下は、数字からも顕著である。例えば、市民を対象にチャリティー団体の信頼度を調べたイギリスの調査『Trust in Charities, 2018』では、2018年の信頼度は5.5(信頼度を10段階で評価)であり、最も数値が高かった2014年の6.7から大きく低下した。

イギリスは、NGOを含む市民社会組織の活動に理解と支援のある社会である。そのようなイギリスにおいても、市民社会組織に対する信頼感は低下している。

NGOに対する信頼という意味では日本の状況はさらに厳しい。NGOや政府、企業に対する信頼度を世界26カ国で比較した『2019 EDELMAN TRUST BAROMETER Global Report』によると、日本ではNGOに対する信頼が著しく低い。日本社会において「NGOを信頼する」と答えた人の割合は38%であり、26カ国の中で下から2番目の数字である。調査対象のほとんどの国で、NGOに対する信頼度が50%を越えていることを考えると、NGOが日本社会の中で置かれている状況は厳しい。

効果、ガバナンス、正当性-NGOに対する批判の原因

近年のNGOに対する信頼の低下は、不祥事に端を発している。しかし、それは表面的な出来事でしかなく、むしろ構造的な問題に目を向けるべきである。NGOはここ数十年、規模や影響力を拡大してきた。それにも関わらず、それに見合った組織運営や透明性の確保が実現できていないのではないかという批判や懸念が信頼低下の構造的な問題としてある。

一般的にNGOを批判する論点として、“効果”‟ガバナンス”“正当性”などの問題がしばしば取り上げられる。NGOは活動することによって人びとや社会に影響を与えようとする。NGOの動員する資金が大きい場合には、影響も大きくなる。しかし、影響の測り方はさまざまであり、NGOの活動の結果としてどのような効果があったのか外部にはわかりにくい状況が続いてきた。これが“効果”の問題である。

“ガバナンス”の問題では、組織の制度やルールが問われてきた。資金の使用や意思決定が適切に行われるには、組織の制度やルールが整備され機能していることが重要である。しかし、ガバナンスが適切に機能しなかった結果、組織が機能不全に陥ったり資金が不正に使用されるという事例が発生し、批判の原因となってきた。

そして、“正当性”の問題である。NGOは誰を代表し、どのような根拠に基づいて影響力を行使しているのかがこれまで問われてきた。NGOは社会的には民間の一つの組織形態である。選挙を経て選ばれたわけでもなく、国家間の合意を経てつくられたわけでもない。しかし、政治を動かし、時には国を凌ぐ社会的なサービスも供給してきた。そのような強い影響力を持つにも関わらず、国家や国際機関ほどに透明性が確保されておらず、正当性の根拠が不明確なことが問題の一つとして指摘されてきた。

 

アカウンタビリティへの取り組みと残された課題

このような中、信頼を確保するためにNGOはアカウンタビリティの問題に取り組んできた。成果の見せ方を工夫し、適切なガバナンスのあり方を模索してきた。その結果、アカウンタビリティ確保への取り組みは大きく前進してきたといえる。しかし、これまでの取り組みは、レポートの作成などを通したドナー向けのアカウンタビリティに傾きがちであった点は否めない。そして、その結果置き去りにされてきた取り組みも少なくない。

例えば、機能的アカウンタビリティ(Functional accountability)と戦略的アカウンタビリティ(Strategic accountability)という視点がある。機能的アカウンタビリティとは組織の有するヒトやモノ、カネなどの資源に関するアカウンタビリティを指す。対して、戦略的アカウンタビリティは、その組織が自らのミッションやゴールとの関係の中でどのように成果を実現しているかを問題にする。これまでの取り組みでは、ドナーや支援者に対してカネの流れやヒト・モノの投入の透明性を上げることが重視されてきた。一方で、組織の活動や成果が組織のミッションにどのように貢献したかを明らかにする大局的な視点は十分ではなかった。

また、外部的アカウンタビリティ(External accountability)と内部的アカウンタビリティ(Internal accountability)という視点もある。外部的アカウンタビリティは、ドナーや行政が定める基準と様式でアカウンタビリティを果たすことであり、ある種受け身の取り組みである。対して、内部的アカウンタビリティは、公正で倫理的な活動を実現するために自己を規制し自律的にアカウンタビリティを果たすことである。従来の取り組みでは、外部的アカウンタビリティが重視される一方で、自己のあり方を内省し自律的に行動する視点が欠ける傾向にあった。

NGOのアカウンタビリティの難しさとは?

NGOのアカウンタビリティを語ることは簡単ではない。組織が適切かつ効果的・効率的に機能していることを測る明確な‟ボトムライン(最低基準)”がないからである。営利企業の場合、利益を生み出す経営をしているか否かが極めて重要な指標となる。また株主という説明を果たすべき対象も明確である。

NGOの場合、このような指標や対象は多様かつ曖昧にならざるを得ない。また、人びとがNGOに求めるアカウンタビリティはさまざまである。例えば、ドナーは、資金の流れの透明性やプロジェクトの実施による社会的な指標の変化に関心を示すが、裨益者は地域の個別的な課題の解決やNGOの現場での振る舞い方に関心があるだろう。あるいは、一般の人びとの中には、NGOというものが国や企業とは異なる存在としてどのような価値を創出できるかを重視している人も多いかもしれない。

これからのアカウンタビリティのキーワード

今、NGOには、従来の取り組みを拡張し、多様なかたちでアカウンタビリティの確保に取り組む必要性が高まっている。NGOに対する信頼性が低下し、他方で民間企業の開発分野への参入など競合アクターが増加していることを考えると、このことは時代の要請ともいえる。そのときのキーワードは“自律”と“自発”だろう。

NGOは、国際的に活動し影響力を持つにも関わらず国際法的な地位が脆弱で、背景となる権威もない。そのため、信頼を獲得し正当性を得るには、自律的かつ自発的に規律ある行動を積み上げていくしかないのが現状である。そして、単なる資金や意思決定の透明性の確保だけではなく、NGOとしての社会的な価値や存在意義を積極的に意味付け他のアクターと積極的にコミュニケーションを取る努力が必要だろう。

JANIC正会員団体

特定非営利活動法人 Accept International

Specified Non-profit Organisation Accept International

前身 日本ソマリア青年機構設立より10年 【アクセプトは、武力ではなく平和的なアプローチで、テロと紛争の解決を目指す国際組織です。】

■テロの無差別性、残虐性 近年のテロ組織は、一国内に限定されず全世界的な規模となっています。無実の民間人を積極的に狙うとともに、想像もできないほどの残虐な行為を用いて、恐怖と数えきれないほどの犠牲を生み出しています。​例えば、ソマリアでは今この瞬間、10歳や15歳ほどの子どもが自爆テロを実行しています。人間としての尊厳を踏みにじるような残虐な行為が今この瞬間、行われています。

■様々な問題を引き起こすテロと紛争 テロと紛争は直接的に人々の命を奪うだけでなく、貧困や飢餓、社会の断絶、難民、子どもの権利の侵害など様々な問題をも引き起こします。日常的に飢餓に苦しむソマリアでは、定期的に飢饉が発生しています。その飢饉の最も深刻な原因の一つは、テロ組織が支援を妨害することによります。また近年、世界的にイスラム教への不安意識が高まっていますが、これもテロ組織の脅威によるところが大きいのです。

■テロと紛争の解決に取り組む組織の欠如 極めて深刻な問題であるテロと紛争ですが、それらの解決に対し取り組みを行うNGOは、日本はもとより世界的に見ても非常に少ないままです。 理由としては、まず危険であることや、取り組みにおいて有効なアイディアが見つからないこと、社会から共感を得るような分野・対象でないこと、など様々あります。しかし、国連や政府といった政治的なアクターが時として機能不全に陥ってしまう現代でこそ、NGOとして取り組む必要があると私たちは考えています。

■アクセプトは、武力ではなく平和的なアプローチで、テロと紛争の解決を目指す国際組織です。 私たちは、大学生と社会人それぞれの強みを活かし、平和的なアプローチでテロと紛争を解決するために活動を行う日本で唯一の組織です。​排除するのでもなく、武力で駆逐するのでもなく、「受け入れる(アクセプト)」という姿勢を活動の軸としています。取り組みニーズは非常に高いものの様々な理由で世界から見放されている国・地域や、疎外されている人々が存在します。私達は、ソマリア、ケニア、インドネシアを舞台に、テロ組織から降参した兵士やギャング、国内避難民など社会に居場所がない人々に対して取り組みを行っています。

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