- TOP
- THINK Lobby
- DAC相互レビューの審査団と市民社会の意見交換
おすすめ記事 2026.07.17

DAC開発協力相互レビューの審査団と市民社会の意見交換:
日本の開発協力における課題を率直に意見交換しました
今年2026年、日本はOECD開発援助委員会(DAC)による、開発協力相互レビュー(通称ピアレビュー)の対象国となっており、直近5年間の政府開発援助(ODA)について、DACメンバーによる評価が行われます。(参考:前回までのレビューに関する外務省ホームページ)
5月下旬に訪日調査が実施され、調査団(英国・韓国・DAC事務局で構成)と、日本政府をはじめ、開発協力の実施に関わる様々なアクターとの間でそれぞれ意見交換が持たれました。5月28日に都内で行われた、調査団と市民社会の意見交換について、報告します。
市民社会からは、日本の開発協力の強みと課題について、2025年の日本のODA額はDAC加盟国中4位と大きいが、その大部分が大規模なインフラ整備に偏っており、基本的社会サービスにかかる支援の割合が小さいこと、贈与に比べてローンの比率が大きいこと、援助の重点により具体性を持たせるべきであることなどを指摘しました。
具体的な支援分野については、人道と開発、平和の連携(HDPネクサス)の重要性は日本政府としても認識しているものの、人道支援の規模が、資金面、制度・組織面ともに他のDAC諸国に対して非常に小さいこと、単年度予算主義の制約が強いが、人道支援には複数年の視点が必要だと指摘しました。また教育分野への支援が、全体量が少なくかつ二国間支援に偏っており、特に多国間支援機関への拠出が少ないことを課題として挙げました。気候変動については取組に改善の余地がある点を指摘しました。
政府と市民社会との連携・パートナーシップについては、第一に、連携に関する独立した政策文書が存在せず、開発協力大綱における「戦略的パートナー」との位置づけが表面的にとどまっていること、第二に、市民社会を通じた支援規模が極めて小さいことを指摘しました。後者については、特に、現地の市民社会組織(CSO)に対する支援が非常に限られており、現状では「草の根・人間の安全保障無償資金協力」しか存在せず、かつ、直接事業費しか対象とされず、団体の組織能力への支援やコア支援がないこと、また現地NGOとの政策対話の機会が制度化されていないことを課題として挙げました。
一方、政府と日本の市民社会の対話の機会としては、外務省とNGO、JICAとNGOの間で合計年に9回の会議が設けられ、他省庁とNGO間でも会議が持たれているが、より率直な意見交換の機会もあるとよい、国際保健やSDGsの進捗評価など、一部の分野別会議では効果的な対話が行われている、と指摘しました。

その他、市民社会からの懸念として、2023年に創設された政府安全保障能力強化支援(OSA)の枠組みについて、政府はODAとは別のものとして説明しているが、軍事分野と民生分野の支援の垣根が曖昧になり、最近防衛装備移転の制限が撤廃されたことも合わせて、今後、途上国の政府や軍隊に支援された装備が現地市民社会の弾圧等に利用される可能性など、人間の安全保障との逆行があり得ることに対する懸念が提起されました。
また、調査団からの「日本ではビジネスセクターは概して国際協力に肯定的と聞いているが、人々のODAに対する理解はどうか」との質問に対し、市民社会からは、国会議員に対してODAの充実・改善に関する政策提言を行っている中で、公的資金を活用した事業の会計報告の基準は非常に厳しく、詳細に開示されているにも関わらず、人々のODAに対する見方は非常に厳しくなっており、理解を得るのが難しいとの声を多数聞いてる、と回答しました。関連して、開発教育に対する支援の不足も指摘されました。
全体を通して、調査団の出身である韓国や英国の事例も交えつつ、非常に具体的かつ率直な議論が行われ、有意義な意見交換の場となりました。
今回の訪日審査の結果も踏まえて今後発表される報告書・提言の内容を、市民社会としてもよく吟味し、より良い開発協力の実施のために、達成度に関する政府との対話や提言活動を続けていくことの重要性を認識する機会となりました。
意見交換参加団体:
JANIC正会員団体
FOLLOW US




