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「経済財政運営と改革の基本方針2026(原案)」に対する国際協力NGOネットワークのコメント

THINK Lobbyライブラリー, おすすめ記事, お知らせ, 提言 2026.07.10

「経済財政運営と改革の基本方針2026(原案)」に対する国際協力NGOネットワークのコメント

2026年7月10日
一般社団法人SDGs市民社会ネットワーク 開発ユニット
グローバルヘルス市民社会ネットワーク
特定非営利活動法人国際協力NGOセンター

6月30日、内閣府「第10回経済財政諮問会議」において「経済財政運営と改革の基本方針2026(原案)」(以下、原案)が発表されました。政府の経済財政政策に関する基本的な方針とともに、経済、財政、行政、社会などの分野における改革の重要性とその方向性を示すものとして、「人口減少、安全保障環境の変化、エネルギー制約、自然災害リスクの増大、AIを始めとする技術革新、国家間の産業・技術競争の激化」などの構造的な変化に対応するための施策が記載されています。

私たち、国際協力に取り組むNGOネットワークは、2026年5月に以下の3点を中心とする提言書を作成し、与党および政府に働きかけを行ってきました。

(1)これまで一般会計予算(当初予算および補正予算)で計上されてきたODA予算を当初予算で可能な限り確保することで、二国間援助に加え、国際機関等への拠出金の水準を安定的に維持すること

(2)当初予算の成立後に生じた自然災害や紛争等の人道危機について、補正予算を機動的に編成し、拠出を維持すること

(3)二国間協力と多国間協力を日本の国際協力の両輪とし、日本の国際的地位の向上に役立てること

この観点から、原案に対するコメントを発表します。

世界経済と結びつくことによって「繁栄を享受」してきた我が国にとって、「強い経済」は、引き続き世界各国との連携と協力によってはじめて実現できるものです。我が国が強い経済を再建し、引き続き繁栄を享受していくためには、世界の分断の修復と持続可能性の向上が不可欠であり、そのためには、各国と協調しながら、我が国のODAを拡充していくことが必要です。これを実現しうる財政政策としての「責任ある積極財政」の推進を歓迎します。 

・「外交力の強化」の文脈で、政府開発援助(ODA)について、以下のように記載されています。

●外交と防衛を車の両輪として、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化を図り、分断と対立の進む世界を開放と協調へ導くため、「平和と繁栄を創る『責任ある日本外交』」を展開し、外交力を抜本的に強化する。日米同盟を基軸に、G7、ASEAN、豪、印、韓、EU、NATOを含む同志国・機関、また、グローバル・サウスとの連携を強化する。あわせて、進化した「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の取組を推進する。政府安全保障能力強化支援(OSA)及び安全保障・経済安全保障に資するODAの規模を拡大し、地域の平和と安定に貢献する

●ウクライナ支援及び対露制裁を継続する。国際協力については、JICA海外協力隊の活用、人道危機と復興ニーズへの対応、地球規模課題の解決に向け、様々な形でODAを拡充する。また、「核兵器のない世界」に向けた取組、安保理改革・邦人職員増等の国連機能強化等に取り組む。

・我が国の国家安全保障や経済成長は、我が国の努力のみで達成できるものではなく、我が国と世界とのつながりにおいて、はじめて追求しうるものです。グローバルサウスを含む世界全体でユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)や普遍的な初等教育へのアクセスの実現、貧困削減や格差是正などの社会開発や持続可能な社会への移行を実現していくことは、我が国の国家安全保障と経済成長を安定的に実現していく上で不可欠です。

一方、上記の引用部分では、ODAの目的が「安全保障・経済安全保障に資するもの」に限定され、かつ、ODAよりも政府安全保障能力強化支援(OSA)の重要性が優先されています。世界が紛争や気候変動、感染症の蔓延といった複合的な危機に直面し、持続可能な開発目標(SDGs)の進捗について大幅な遅れが指摘される一方で、主要先進国がODAを削減する中、日本政府はグローバルサウス諸国の日本への信頼を確保し平和外交を実現するため、ODAをより積極的に位置づける必要があります。「責任ある積極財政」において、ODAはより高い優先度を以て記述される必要があります。

・原案では、過去の「骨太の方針」に記載されていた「人間の安全保障」に関する記述がなく、これまで日本政府が重視してきた「人間一人ひとりに着目し、生存・生活・尊厳に対する広範かつ深刻な脅威から人々を守り、それぞれの持つ豊かな可能性を実現するために、保護と能力強化を通じて持続可能な個人の自立と社会づくりを促す考え」が抜け落ちています。世界全体が「人間の安全保障」で構想された社会の在り方へと移行していくことが、ひいては我が国の安全保障と経済成長を持続可能な形で追求していくための必要・十分条件であると言えます。

・国際協力について、「人道危機と復興ニーズへの対応」および「地球規模課題の解決」に向けて様々な形でODAを拡充することに言及されていることについて、これを高く評価します。この記述を踏まえ、2027年度予算の策定においても、これまで当初予算と補正予算の双方で確保していたODA予算の総額を維持し、上記の二つの目的に活用して頂くようお願いします。保健や教育など社会開発のための多国間協力や、緊急人道支援を行うジャパン・プラットフォームへの予算確保、世界各国で開発協力を行うNGOに対する資金として活用される日本NGO連携無償資金協力(N連)などNGOとの連携のための資金の拡充を求めます。

・2023年度以降の「骨太の方針」に毎年記述されている「核兵器のない世界」に向けた取組について、本年度も言及されたことについて、高く評価します。

・「安保理改革・邦人職員増等の国連機能強化」に加えて、国連分担金を含む多国間協力の強化・拡充についても具体的な予算を伴う施策が採られることを期待します。

(以上)

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