【政策提言】2025年度税制改正要望

THINK Lobbyライブラリー, おすすめ記事, 提言 2025.10.30

JANICは、2025年度税制改正要望を以下の通り発表し、各政党によるヒアリングに、他の市民社会ネットワークとともに参加しています。


2025年度 税制改正要望

2025年10月30日

特定非営利活動法人国際協力NGOセンター

(1)ODA0.7%目標の達成に向けた予算確保、NGOとの連携促進


(2)「国際観光旅客税」を地球規模課題に活用し、超富裕層への課税強化を


(3)休眠預金を国際協力分野に活用し、柔軟性のあるスキームへ改革

 

(1)ODA0.7%目標の達成に向けた予算確保、NGOとの連携促進

 OECD-DAC(経済協力開発機構・開発援助委員会)加盟メンバーによる2024年の政府開発援助(ODA)は、2023年に比べて7.1%減となりました。日本政府は、167億7,167万ドル(前年比14.4%減、円ベースでは前年比7.8%減の2兆5,399億円)となり、国際目標である「GNI比0.7%の拠出」には届かず、0.39%でした(注1)。

 国際協調の最たる手段が、ODAによる二国間援助や国際機関への拠出です。アメリカ政府が国際開発庁(USAID)の廃止と国務省への統合および援助予算の大幅削減を行った結果、世界中で社会開発分野でのSDGs達成が大幅に遅れています。また、コロナ・パンデミック以降、SDGs達成に向けた資金ギャップは拡大し続け、国連の報告では年間4兆ドルと試算されています(注2)。

 いまこそ、先進国の一員である日本政府は、国際目標の達成に向けたロードマップを作成し、ODAの増額に踏み切るべきです。

 その際、社会開発分野において世界中で活動している国際協力NGOとの連携を強化し、日本NGO連携無償資金協力やNGO活動環境整備支援事業の予算を拡充すべきです。日本は、NGOを通じた政府開発援助(ODA)は、他のOECD-DAC諸国と比べて著しく規模が小さく、NGOの潜在能力を活かしきれていません(注3)。

 

(2)「国際観光旅客税」を地球規模課題に活用し、超富裕層への課税強化を

 国土交通省からの2026(令和8)年度税制改正要望事項として、「観光施策を充実・強化するために必要となる財源確保策の検討」という項目が提出されています(注4)。これはすでに導入されている「国際観光旅客税」の引き上げ検討を意味していると考えられますが、日本を出国する旅客に対して課税されるものであり、国家主権の及ばない領土外での消費行為への課税であることから、その税収は国際社会が抱える地球規模課題に使用されるべきであり、国内の観光セクターに限定すべきではありません(注5)。 コロナ・パンデミックの経験や近年の気候変動状況を踏まえると、人の移動による「負の影響」である感染症拡大や温室効果ガス排出増加の対策にも使用すべきです。「国際観光旅客税」の引き上げにあたっては、搭乗クラス別に定額税を決め、プレミアム旅客(ビジネス・ファーストクラスやプライベート・ジェット利用者)に対してより高い定額税とすべきです。 

 また、2024年7月、ブラジルG20財務大臣会合に対して提出されたフランスのガブリエル・ズックマン教授による報告書は、「10億ドル以上の資産を有する超富裕層に最低税率2%を課すことで、2,000億ドルから2,500億ドルの収入を生み出すことができる」と指摘しています(注6)。拡大する貧富の格差を前に、超富裕層への課税オプションをG20各国が検討しています。日本政府も同報告書を参考に、国内での超富裕層への課税と、その税収の地球規模課題への活用を検討すべきです。

 

(3)休眠預金を国際協力分野にも活用し、柔軟性のあるスキームへ改革

 現在の休眠預金等活用制度は、「国及び地方公共団体が対応することが困難な社会の諸課題の解決並びに民間公益活動の自立した担い手の育成等を図り、もって国民生活の安定向上及び社会福祉の増進に資すること」を目的として掲げており、国際協力分野は対象外とされてきました(注7)。しかしながら、現代の社会課題は相互に複雑に絡み合っており、国際協力活動を通じて世界中の課題を解決することは、結果的に「国益」や日本に住むすべての人々の生活向上につながります。そのため、「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」の第十七条に、「国際協力分野」を追加するよう、法改正をすべきです。

(公益に資する活動の定義等)

第十七条 前条第一項の「公益に資する活動」とは、次に掲げる活動をいう。

一 子ども及び若者の支援に係る活動

二 日常生活又は社会生活を営む上での困難を有する者の支援に係る活動

三 地域社会における活力の低下その他の社会的に困難な状況に直面している地域の支援に係る活動

四 国際協力に係る活動(追加)

 

 また、現在の制度についても、助成団体の要件および事務手続きの簡略化が必要です。組織の規程整備など、求める要件が厳しく、申請のためだけに急遽策定しても、単にペーパーワークを増やすだけで、案件内容の実質的な審査にはつながりません。公益法人や認定NPO法人など、すでに公的な認可を得ている団体に対しては、要件の簡略化を進めるべきです。

 資金分配団体と実行団体の裁量拡大も必要です。現行の制度では資金分配団体および実行団体の裁量に限りがあるため、助成決定後は、実行団体がより柔軟・迅速に動けるような仕組みにしていただきたい。

(以上)

 

(注1) 外務省「2024年の各国ODA実績(暫定値)の公表」(2025年4月17日), https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/pressit_000001_02031.html

(注2) 国連広報センター「持続可能で平和な未来のために世界の軍事支出の再調整を」(2025年9月23日), https://www.unic.or.jp/news_press/info/52836/

(注3) 2020年に実施されたOECD-DACによる日本政府への開発協力相互ピアレビューでは、「戦略的パートナーでありかつ権限を持った開発主体である日本や被援助国の市民社会に対して、一層の制度的な支援を行う」ことが提言されている。 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/files/100102227.pdf

(注4)国土交通省「令和8年度税制改正要望事項」, https://www.mlit.go.jp/page/content/001966262.pdf

(注5) グローバル連帯税フォーラム「26年度税制改正要望>国際連帯税と国際観光旅客税について」(2025年9月3日), http://isl-forum.jp/archives/4585

(注6)「超富裕層に対する最低実効税率課税基準のための青写真:ブラジルG20議長国による委託(“A blueprint for a coordinated minimum effective taxation standard for ultra-high-net-worth indi- viduals – Commissioned by the Brazilian G20 presidency”)」(2024年6月24日), https://gabriel-zucman.eu/files/report-g20.pdf

(注7)「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」,  https://laws.e-gov.go.jp/law/428AC1000000101

JANIC正会員団体

FOLLOW US

条件別で記事を検索

CATEGORY

開催日

開催場所

募集締切

勤務地

雇用形態

開催日

訪問地域

商品カテゴリー

募集締切

リリース日

リリース内容