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APR.18.2025
【助成事業募集情報】組織基盤の強化を応援する「Panasonic NPO/NGO サポートファンド for SDGs」(応募受付 7 月 15 日~7 月 31 日)
APR.18.2025
REPORT
NOV.06.2024
<本レポートは、イベントの主催であるJANICアフガニスタン・ワーキンググループに参加する、公益社団法人シャンティ国際ボランティア会(SVA)によって執筆された記事を転載し、掲載しています。>
10月3日に、国際協力NGOセンター(JANIC)のアフガニスタンワーキング・グループ主催でオンラインイベント「忘れないで、アフガニスタン。~人々の暮らしは今?ジャーナリストとNGOからの報告」(ジャパン・プラットフォーム(JPF)アフガニスタンワーキング・グループ共催)を開催いたしました。当日は80名ほどの方に参加をいただくことができました。
報告会では本年アフガニスタンで現地取材されたフォトジャーナリストの川畑嘉文氏の基調講演のほか、女性の生計向上や地雷回避教育、国外への退避支援等の活動を続ける3つのNGOによる事業の紹介がありました。
最初の川畑氏の基調講演では、ご自身がフォトジャーナリストになる契機となった9.11テロの経験。その直後にアフガニスタンに渡航した際の話、そして、今年のアフガニスタンでの取材を通して見えたことを、当時の写真も交えてお話しくださいました。
川畑氏:経済的には厳しい状況にありますが町は想像以上に賑わっていました。また女性に対する規制が厳しい中で、女性だけで出歩く姿や顔を隠さずにいる女性の姿もあり驚きました。一方で、物乞いをする女性も町には多く存在し、やはり苦しい状況にある女性が多いことは容易に想像できました。
子どもたちに関して言うと、男の子たちは学校に行き勉強をすることができます。野外ではクリケットを楽しむ姿も見ることができました。一方で、路上で卵や野菜を売っている子ども、資源ごみを集める子どもの姿は昔よりも増加していると感じました。女の子たちは、小学校までは認められていますが中学校以上の教育を受けることができません。そのため、家の中でもできる裁縫を学ぶ様子を取材しました。中学校以上の教育を受けることができない中、勉強することを切に望む女の子の声が印象的でした。
一般の人たちはタリバンを恐れ憎んでいるがそれを表現することはどこにスパイがいるかわからない相互監視社会の下では自身や家族を危険にさらすことになります。多くの人々が疑心暗鬼になり精神的に不安定になっているように感じました。
続いて、現地で活動を続けるNGOが、取り組んでいる事業紹介を行いました。
アフガニスタンでは、現在、女子の中等教育以上の禁止、女性の就労の禁止が続いています。加えて、NGOに対する締め付けも強まってきおり、厳しい環境の中での活動が強いられています。こうした環境にも負けることなく現地で活動を続ける職員の力強い声、事業を通して生活を再建しつつある裨益者の声なども紹介をいただきました。
まず、初めに、難民を助ける会(AAR)より、事業の紹介をしました。
AARは、現在、食糧支援、帰還民への支援、爆発物リスク回避教育の事業をアフガニスタンで実施しています。事業紹介の後に、現地で活動に取り組むスタッフの声を紹介いただきました。タリバン暫定政権により様々な規制が課され、思うように活動に取り組むことができない中でも、できる事を見つけて事業に取り組んでいます。
続いて、JENによる事業紹介をしました。アフガニスタンでは、生計向上支援に加えて、女子教育、水衛生、食糧安全保障に関わる事業を展開しています。
帰還民を対象とした自立を支える事業では、ビジネス研修を実施し、縫製の技術を持っている人が多いことから、ミシン等の裁縫道具を提供しました。その際、必要なものを団体が一方的に提供するのではなく、裨益者に最終決定してもらうことで、オーナーシップが高まるように取り組んでいます。
事業紹介の最後には、支援を受けた女性の声が紹介されました。度重なる困難の中でも、支援を通して、生活再建に取り組んでいること、そしてそうした支援に対する感謝の言葉を伝えていただきました。
最後にREALsが事業紹介をしました。REALsは、食糧支援事業と退避・保護支援を実施しています。アフガニスタンでは、夫を亡くし、女性が世帯主となった場合であったとしても、女性の就労は認められないため、経済的に生活が困難状況に置かれ、食糧支援を必要としています。支援を受けた方の声も紹介され、生活に余裕が生まれるとともに、安心感にもつながっていることを紹介しました。
2021年8月のカブール陥落以降、女性活動家や前政権の関係者は、脅迫等の迫害を受けるようになりました。そうした人を対象に退避・保護支援を実施しています。退避後も声を上げ続ける人は多く、そうした人の声を紹介しました。
最後に質疑応答を行いました。
Q1 日本人職員はアフガニスタンに行くことはできるか。アフガニスタン社会は安心安全な社会に近づいているのか。タリバン暫定政権の前と後で違いはあるか
A1 外務省から退避勧告が出ているため、日本人職員はアフガニスタンには行っていない。治安に関しては、大きなテロなどは減っており改善されているように感じるものの、そうした報道がされなくなっているだけの可能性もある。タリバン暫定政権前後での、変化に関して、雇用率の低さが最も大きな変化ではないか。失業率は非常に高く、それに加えて、女性は様々な制約があるため能力を十分に発揮できない状況に置かれている。
Q2 女子の中学校以上の教育が禁止されている中で、教育の機会としてどのような選択肢があるのか。オンライン教育などもあるのか。
A3 インフォーマルに教育を提供している場所もあると言われているが、タリバン暫定政権の方針に反するため、いつ中止になるかわからない不安定な状況だと思われる。オンライン教育という選択肢もあるが、教育に必要な機器を持っており、かつネット環境が整備されている都市部に限られる。教育のために国外への退避を考える人もいるが、それを実際に行うことができる人は非常に限られている。
Q3 現地と活動する中で、国際社会の中で日本に期待していることはありますか。また、一般の人や学生で、アフガニスタンのためにできることはありますか。
A3 日本はタリバン暫定政権前から多くの支援を実施してきた。こうした支援によって信頼関係を構築しており、それに基づいて人道支援など、現地に寄り添った支援を行うことが期待されている。
一般市民としてできる支援として、様々な団体がアフガニスタンで支援をしている。そうした団体に寄付をすることができる事だと思われる。また、今日のイベントを通して知ったことを周りにいる人に話をすることで支援の輪を広げていくことも可能である。また、自治体にもよるが、様々な地域に日本語教室があるので、そこでボランティアをすることはできる。また、学生であれば、例えば、大学の留学生支援室を通した外国人の支援をすることも可能である。
最後に川畑氏より「人間の最大の罪は無関心です。今日のようなイベントで知ろうとすること、そしてそれを広めていくことが重要なのではないかと思う。」とのコメントがあり、締めくくられました。
イベント後の様子(写真2列目、右端が川畑氏)
◆文責
瀧 孝輔 (シャンティ国際ボランティア会 海外緊急人道支援課)
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