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FROMジェンダーと多様性をつなぐ フェミニズム自主ゼミナール~ふぇみ・ゼミ
JUN.13.2022
<あとから配信有り・ハイブリッド開催>
日本では性と生殖の健康と権利保障が進まない一方、性と生殖を取り巻く技術は目まぐるしく展開しています。生殖補助医療の中では、子どもを欲しいカップル以外の第三者であるドナーや、生まれてくる子どもの権利が、置き去りにされがちです。女性の権利を主張した自己決定概念を逆手にとって、政府や、家族、パートナーが、性と生殖の選択と責任を、女性一人に背負わせることも起きてきました。
また、性と生殖の権利擁護が、「女性を保護する」という保守派の政策に近づくなら、それは保護される者と切り捨てられる者の分断をもたらします。1995年の北京世界女性会議では、女性と健康についての行動綱領に、性的権利(セクシュアル・ライツ)や性的指向による差別の禁止を書き込むことができませんでした。もちろん、当時は激烈な論争があったのですが、権利を求める時に、「誰か」を後回しにすることを仕方ないとするとしたら、それは差別だとフェミニズムは言ってきたはずです。
その後、後回しは解消されたでしょうか?
現在保守派は、トランスジェンダーなど性別二元論に当てはまりきらない人たちの性と生殖の権利を、リプロダクティブ・ヘルス/ライツから切り離せとそそのかし、かつて闘いの基盤となった「女性」というアイデンティティを奪い取ろうとしています。私たちは今、リプロダクティブ・ヘルス/ライツの概念を再構築しなければ、権利擁護も自己決定も難しいところに追い込まれているのではないでしょうか。
障害、民族、セクシュアリティなど様々な点で多様な、「わたし」たちが医療技術の支配や人権を尊重しない政策にさらされず、家族や社会からの圧力を受けず、性と生殖のすべての場面で等しく権利を享受するには、どうしたらいいのか。ふぇみ・ゼミはインターセクショナリティの視点で考えます。
イベント申込受付サイトPeatixよりお申し込みください↓
https://reproductiverights2022.peatix.com/
※既に終了した講座も後から配信にてご視聴いただけます。
※単発での申込も可能です。
【第一回】5月7日(土)14:00-16:00
オープニング・映画上映会
映画・「中絶こころ編 わたしを生きるために」
アフタートーク:山上千恵子(本作監督)、聞き手:熱田敬子
「中絶こころ編 わたしを生きるために」解説文:
いつの時代もタブーとされ、今もなお女たちの間でもほとんど語られることのなかった中絶。私を生きるために自分の意志で中絶を選択した女たちから女たちへのメッセージです。あなたはどう受けとめますか?
注:このビデオは1992年に制作したものです。安全な中絶薬が承認されようとしている今、中絶はタブーではなくなるのでしょうか?中絶をどう受け止めるのか、話し合う機会になればと願っています。
【第二回】5月21日(土)19:00-21:00
講師:熱田敬子
テーマ:健康と権利だけでなく自由と公正さと正義を〜ジレンマと排除から考える「自己決定」
概要:リプロダクティブ・ヘルス/ライツ〜性と生殖に関する健康と権利の概念は、女性と少女の人権擁護のための一つの基礎になってきた。しかし、当初セクシュアル・ライツ(性的権利)をリプロダクティブ・ヘルス/ライツから切り離す動きがあったことに代表されるように、セクシュアリティや、人種・民族、病気・障害、階級などによってマイノリティ化される人たちの権利擁護は、後回しにされがちだった。さらに、生殖補助技術や出生前診断に代表される医療技術の開発は、リプロダクティブ・ヘルス/ライツが拠り所としてきた自己決定概念を骨抜きにしようとしている。
その状況下で、フェミニズムが単に健康と権利だけに焦点を合わせようとしたら、典型的で保護されるべき「女性・少女」とみなされない人たちへの新たな排除や差別を生み出すことになるのではないか。歴史と現在を振り返りつつ、インターセクショナルな視点で参加者と共に考えたい。
【第三回】6月4日(土)19:00-21:00
講師:藤原久美子
テーマ:障害のある女性とリプロ
概要:女性であり障害者であることで、困難が幾重にも重なることを複合差別と言います。中でも否定されがちな障害女性のリプロについて、自らの体験を交えて実態をお話しし、解消するための取り組みを共に考えます。
【第四回】7月9日 (土)19:00-21:00
講師:石塚幸子
テーマ:出自を知る権利とは ー精子提供で生まれた当事者の立場から考える
概要:第三者の精子提供により生まれた私たちは、遺伝的ルーツがわからず、また突然の告知で親との関係に問題を抱えている人が少なくありません。「出自を知る権利」とは、日本の状況と解決への道を一緒に考えたいと思います。
参考:
https://www.asahi.com/articles/ASND26X2TND2UTFK01Q.html
https://gendai.ismedia.jp/list/author/ishizukasachiko
https://www.youtube.com/watch?v=E1Aszwf5X74&feature=youtu.be
【第五回】8月20日(土)19:00-21:00
講師:洪賢秀
テーマ:仮)韓国のES細胞捏造事件を振り返る~研究用卵子提供の議論とその後の変化
概要:本講義では、2006年に明らかになったES細胞データ捏造事件を振り返り、当時、女性から研究目的として提供された卵子が、韓国社会でどのように語られ、どう意味づけられようとしたのかについて考察する。また、この事件後の韓国社会の変化や教訓について紹介する。
【第六回】9月17日(土)14:00-16:00
講師:ビゼイ・ゲワリ
テーマ:Nepalese women living in Japan: Hope, Challenge, Rights(在日ネパール女性たちの希望,挑戦,そして権利)
概要:According to the Ministry of Justice Japan’s data as of June 2021, the number of Nepali immigrants are 97,026. Of those, 36,262 are in the reproductive age female group (according to the World Health Organization, the 15-49 age group is considered the reproductive age group). Some of the married couples give birth during their stay in Japan, and some come to Japan accompanied by their children, while some leave their children in Nepal in the care of other family members. Migration is a worldwide phenomenon. In the world, most of the women of the reproductive age group migrate from one country to another for various reasons, so they also face different reproduction related issues. These issues include menstrual disorders, sexual violence, intimate partner violence, unwanted pregnancies, abortions, and lack Unmarried women are even more vulnerable when it comes to reproductive health-related issues.
日本語:2021年6月時点の日本の法務省のデータによると、ネパールからの移民は97,026人います。そのうち、生殖可能年齢の女性は36,262人です(世界保健機関は15~49歳を生殖可能年齢とみなしています)。滞在中に子どもをもつ夫婦や、子どもを伴って来日する夫婦、また子どもをネパールに残して他の家族に預ける夫婦もいます。移住は世界的に生じている現象です。世界中で、生殖可能年齢の女性たちは様々な理由で移住をし、それゆえ、生殖に関する様々な問題に直面しています。これらの問題には、月経障害、性暴力、DV、望まない妊娠、中絶などが含まれます。さらに、未婚の女性は、リプロダクティブ・ヘルス関連の問題に関してより脆弱です。
参考:
http://cpc.tokyo/index.php?%E5%BF%83%E7%90%86%E7%9B%B8%E8%AB%8701
https://digital.asahi.com/articles/ASM5G3R1FM5GUCFI001.html?pn=4
【スペシャルゲスト・スピンオフ回】11月5日(土)19:00-21:00
講師:サリー・ハインズ
テーマ:Trans Pregnancy: An International Exploration of Trans Masculine Experiences and Practices of Pregnancy (トランスジェンダーの妊娠:トランスマスキュリンの経験と妊娠の実践の国際研究)
概要:Over the last decade, same-sex parenting practices have received increasing social and cultural visibility, with lesbian and gay parenting emerging as a central site of enquiry within sociological studies of gender, sexuality, intimacy, kinship and personal life. Transgender practices of parenting, however, have received much less attention. Trans/masculine and non-binary pregnancy shows how shifts in gendered and intimate practices occur within changing social institutions and cultural understandings. Vice versa, such social and cultural transformations impact on how individuals live their gendered, and intimate lives.
In this talk, Professor Sally Hines draws on findings from a major research project funded by the UK Economic and Social Research Council (ESRC): ‘Trans Pregnancy: An International Exploration of Transmasculine Practices of Reproduction’. From 2017 to 2020, we interviewed 51 individuals about their experiences of pregnancy and childbirth; ran focus groups with young trans/masculine and non-binary people to explore their feelings around possible future reproductive options; undertook interviews and focus groups with healthcare professionals; and analysed law, policy, and the media landscape. Our research took place in Australia, Canada, the USA, and European Union countries (including the UK). This represents the largest international study of trans/masculine and non-binary reproduction to date.
This presentation will begin with an overview of the research aims and questions, and address methods used. It will then draw on analysis of data to explore topics such as language and self-representation, conception, pregnancy loss, law and policy, and media representation. It will position these findings in relation to the growing academic literature on trans/masculine and non-binary experiences of fertility, reproduction, and chestfeeding, showing how the research took place within the context of a rapidly-growing and highly important new field of study.
日本語:この10年間、同性カップルの子育ては社会的・文化的に認知されるようになり、レズビアンやゲイの子育ては、ジェンダー、セクシュアリティ、親密性、親族関係、個人生活に関する社会学的研究の中で中心的な調査対象となってきている。しかし、トランスジェンダーの子育て実践は、これまであまり注目されてなかった。トランス/マスキュリンとノンバイナリーの妊娠は、社会制度や文化的理解の変化の中で、ジェンダー化された親密性の実践がどのように変化してきたのかを示している。逆に、このような社会的・文化的変容は、個人がどのようにジェンダー化され、親密な生活を送るかにも影響を与えている。
本講座では、サリー・ハインズ教授が、英国経済社会研究評議会(ESRC)の助成による大規模研究プロジェクト「トランスジェンダーの妊娠:トランスマスキュリンの生殖に関する実践についての国際研究」から得られた結果を利用する。2017年から2020年にかけて、妊娠と出産の経験について51人にインタビューを実施した。若いトランス/マスキュリンとノンバイナリーの人々には、フォーカス・グループ・インタビューを通して、将来可能性のある生殖に関する選択についての思いをたずね、医療専門家には、インタビューとフォーカス・グループ・インタビューを実施した。そして、法律、政策、メディアの状況を分析した。調査は、オーストラリア、カナダ、米国、EU諸国(英国を含む)で実施された。トランス/マスキュリンとノンバイナリーの生殖に関する国際的な研究としては、今日までで最大規模のものである。
本講座では、まず、研究の目的と課題、および使用された手法の概要を説明する。次に、言葉と自己表象、妊娠、妊娠の損失、法律と政策、メディア表象などの項目について、データの分析を行う。そして、これらの知見を、トランス/マスキュリンとノンバイナリーの生殖能力、妊娠・出産、胸授乳(注:「母」乳ではない)について、既存の学術文献と関連づけ、この研究が、急速に成長しつつある非常に重要な新しい研究分野において、どのように位置づけられるのかを示す。
参考:
https://www.sheffield.ac.uk/socstudies/people/academic-staff/sally-hines (プロフィール)
https://transpregnancy.leeds.ac.uk/ (トランス・プレグナンシー)
◯石塚 幸子(いしづか さちこ)
匿名の第三者の精子を用いた人工授精(AID:非配偶者間人工授精)で生まれた当事者。23歳のとき、父親の遺伝性疾患への遺伝の可能性を疑ったことをきっかけに、母親より告知を受ける。提供者についてはわかっていない。非配偶者間人工授精で生まれた人の自助グループ(DOG:DI Offspring Group)メンバー。
◯洪賢秀(ほんひょんすう)
明治学院大学社会学部付属研究所・研究員
東京大学医科学研究所・生命倫理研究分野・特任研究員
専門は、文化人類学、生命倫理学
主な論文に、「韓国における生殖技術への 対応」『現代生殖医療-社会科学からのアプローチ』( 世界思想社、2005 年、 上杉富之編)、「研究用卵子提供の何が問題 なのか―韓国黄禹錫論文捏造事件を中心に―」『テクノ/バ イオ・ポリティクス―科学・ 医療・技術のいま』(作品社、2008 年、 舘かおる編)、「韓国における生殖医療と法的ルール」『生殖医療と医事法』( 信山社、2014 年、 甲斐克則編)など。
◯ビゼイ・ゲワリ
博士(医療福祉学)。臨床心理士。鍼灸師。2007年に日本語学校生と して来日。国際医療福祉大学博士課程では、紛争後の精神保健やウ ェルビーイングについて研究。自殺防止活動に取り組み、日本や韓 国に住むネパール移民のためにワークショップなど啓発活動を行う。 一般社団法人日本インターナショナル・サポート・プログラム (JISP)のメンバーとして、東日本大震災、熊本大地震、ネパール大 地震、バングラデシュでのミャンマー避難民支援などに従事。ネパ ール語での著書多数(一部邦訳あり)。2021年8月ネパールに帰国。
日本語新刊:
https://www.amazon.co.jp/dp/4324111065?&linkCode=sl1&tag=catch22-22&linkId=bff6d3972c411ef10470e10b55046bbb&language=ja_JP&ref_=as_li_ss_tl
◯サリー・ハインズ
リーズ大学にて学際的ジェンダー研究センター長を務め、ニューカッスル大学にてセクシュアリティ研究の学際ネットワークを構築したハインズは2019年よりシェフィールド大学社会学研究学部教授の就任した。現在、社会学研究学部学部長、公平性・多様性・包括性を推進に関してディレクターとして大学全体のプログラムを執り仕切っている。近著 『Is Gender Fluid?: A Primer for the 21st Century』(テムズ・ハドソン社、2018年)がある。
◯山上 千恵子(やまがみ ちえこ)
1980年代からビデオ制作をはじめる。
1982年、「’82年優生保護法改悪阻止の記録—女たちは元気です!」を阻止連のメンバーと一緒に制作。
1999年から横浜市女性財団(現在の男女共同参画センター横浜)の啓発ビデオ(からだ編、自立編)の制作、テレビ番組の制作にもかかわる。
’01年、自主制作「Dear Tari」第3回ソウル女性映画祭アジアンコンペティションで観客賞受賞。
<女たちの歴史プロジェクト>を立ち上げメディアで取り上げられにくい女性の文化・歴史・運動などを描く作品を作り続ける。
2004年「30年のシスターフッド~70年代ウーマンリブの女たち」 (共同監督:瀬山紀子)は台北の女性影展、トルコの女性映画祭:Filmmor film festivalで上映、アメリカ11の大学などで上映&トークツアー。
2011年、山川菊栄記念会企画のドキュメンタリー「山川菊栄の思想と活動~姉妹よ、まずかく疑うことを習え」、2013年「潮風の村から~ある女性医師の軌跡」「闘いつづける女たち~均等法前夜から明日にバトンをつなぐ」は国内のあいち国際女性映画祭」、アルメニアの女性映画祭、トルコ(イスタンブール)のfilmmor女性映画祭などで上映。2021年、ソウル国際女性映画祭・パンデミック部門で「30年のシスターフッド」のonline上映&トーク!
◯熱田 敬子(あつた けいこ)
大学非常勤講師、ジェンダーと多様性をつなぐフェミニズム自主ゼミナール~ふぇみ・ゼミ運営委員。中国語通訳翻訳、専門は社会学、ジェンダー・フェミニズム研究。共著に『ハッシュタグだけじゃ始まらないー東アジアのフェミニズム・ムーブメント』(大月書店)、『架橋するフェミニズム ー歴史・性・暴力』(松香堂)、論文に「雨傘運動の性/別問題」、「『お母さん』支援としての中絶ケアの問題性」ほか。東京下町育ち。
◯藤原 久美子(ふじわら くみこ)
十代の時にⅠ型糖尿病を発症し、35歳で合併症による網膜症で視覚障害者(弱視)となる。大阪ライトハウスで生活訓練を受けた後、自立生活センター神戸Beすけっとに関わり、障害者の自立支援を行っている。また、40歳で妊娠するも、障害を理由に中絶を薦められた体験から、政策提言や、国内外に情報発信するなど、障害女性の複合差別解消にも取り組んでいる。
2019年12月、日本の社会問題に草の根で取り組む女性リーダーに送られる「チャンピオン・オブ・チェンジ日本大賞」受賞。
自立生活センター神戸Beすけっとピアカウンセラー/事務局長
特定NPO法人DPI(障害者インターナショナル)日本会議 常任委員
DPI女性障害者ネットワーク 代表
ふぇみ・ゼミ連絡先
メールアドレス: femizemi2017@gmail.com
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