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【パブリックコメントを提出しました】SDGs進捗報告書「自発的国家レビュー(VNR)」

APR.22.2025

【パブリックコメントを提出しました】SDGs進捗報告書「自発的国家レビュー(VNR)」

JANICでは、2025年7月に開催される国連閣僚級ハイレベル政治フォーラム(HLPF)で日本政府が発表する予定のSDGs進捗報告書「自発的国家レビュー(VNR)」に対し、以下の通りパブリックコメント*を提出しました。

*パブリックコメントの募集(〆切2025年4月18日)についての詳細はこちらから

全般
  • SDGsの本質は、2030アジェンダの前文に示されているように、「誰一人取り残さない」、「すべての人々の人権の実現」であり、その本質に正面から向き合うことなく、言葉の使用さえ避けているように思われます。「人間の安全保障」についても、VNR案では「人間の安全保障の理念に基づき」(p.3、p.58、p.63、p.164)と記載されているだけであり、p.58およびp.59ではその概念そのものについて十分に説明されておらず、人権との関係性が不明確です。 そのため、「人間の安全保障」と人権の関係性について説明する記述を大幅に増やすべきです。
  • p.67以降の「5.各目標の達成状況」「日本政府による進捗評価」において、達成度が低いターゲットや指標について、より掘り下げてその背景や理由を含めて記述すべきです。
  • 外務省のウェブサイト「Japan SDGs Action Platform」の「SDGグローバル指標(SDG Indicators)」において、目標16に関するグローバル指標は26あり、そのうち、政府データが掲載されているものは半数の13に留まっています(*1)。また、目標17についてはVNR作成と同時に、グローバル指標のデータ整備を進めるべきです。
目標16
  • p.106以降の目標16「平和と公正をすべての人に」に関して、(1)暴力と、暴力による死の減少、(2)児童虐待対策・こどもに対する暴力撲滅、(3)国際協力、(4)国連PKOにおける協力の4点が取り上げられています。これに加え、「法の支配」、「汚職・贈賄の減少」「説明責任のある公共機関」「包摂的・参加型の意思決定」「グローバルガバナンス」「情報への公共アクセスと基本的自由」など、他のターゲットについても日本国内および国際協力における達成状況を記載すべきです。
  • 特に、グローバル指標16.a.1「国内人権機関の設置」について、現在の国内での状況を記載すべきです。
目標17
  • p.109では、2023年の日本のODA実績について、「対国民総所得(GNI比) では、2010年は0.20%だったが、2023年には0.44%になった。また、2023年のLDCs向けODA実績のGNI比は、0.09%(支出純額ベース)であった」と記載されていますが、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」のターゲット17.2では「先進国は、開発途上国に対するODAをGNI比0.7%に、後発開発途上国に対するODAをGNI比0.15~0.20%にする」とされており、日本政府は本ターゲットを達成していないことが明らかです。ターゲットと比較し、ODA実績が目標に達していないことを明記すべきです。同時に、SDGsの達成期限である2030年までにどのようにODAを増額して目標達成に近づけていくのか、具体策や道筋を示すべきです。

横断的な課題

ビジネスと人権

  • 2023年夏に行われた国連「ビジネスと人権(BHR)」作業部会による調査で指摘されているように、BHRの指導原則(UNGPs)の第一の柱は、国の人権保護義務であり、その義務が以下の点で果たされていません。

1)UGNPSの取り組みは、大手企業を中心に取り組みが進んでいるが、東京や大阪以外の地域および中小企業での取り組みが進んでいない。

2)UNGPsの取り組みは、人権デューディリジェンス(人権DD)でも、市民社会をはじめとするステークホルダーとのエンゲージメントが重要であり、その取り組みの強化とともに、もう一つの重要な柱である救済への取り組みが遅れている。

3)救済機能を果たせるのが国内人権機関(NHRI)であり、日本政府はおよそ20年にわたって国連から設置の勧告を受けているが、未だに設置されていない。

  • EUを中心にビジネスと人権に関する人権・環境デューディリジェンスの法制化が進んでいるが、日本では未だに議論すらされていません。UNGPsでも、その原則に含まれているように、スマートミックス(義務的な取り組みと、自主的な取り組みのミックス)のバランスが重要であり、法制化への議論を加速化すべきです。

◆ 参考 ◆

*1:目標16に含まれるターゲットの進捗を図るグローバル指標(全26)の、日本政府によるデータ公表状況は以下の通りです。

・政府データあり:13

・政府データなし:12

・その他:1

指標No. 内容 政府データの有無
16.1.110万人当たりの意図的な殺人行為による犠牲者の数(性別、年齢別)あり
16.1.210万人当たりの紛争関連の死者の数(性別、年齢、原因別)なし
16.1.3過去12か月において (a)身体的暴力、(b)精神的暴力及び/又は (c)性的暴力を受けた人口の割合あり
16.1.4夜間に自身の居住区地域を一人で歩いても安全と感じる人口の割合あり
16.2.1過去1か月における保護者等からの身体的な暴力及び/又は心理的な攻撃を受けた1歳~17歳の子供の割合あり
16.2.210万人当たりの人身取引の犠牲者の数(性別、年齢、搾取形態別)あり
16.2.318歳までに性的暴力を受けた18歳~29歳の若年女性及び男性の割合なし
16.3.1過去12か月間に暴力を受け、所管官庁等に被害を届け出た者の割合あり
16.3.2刑務所の総収容者数に占める判決を受けていない勾留者の割合あり
16.3.3紛争経験者が紛争解決メカニズムにアクセスした割合なし
16.4.1内外の違法な資金フローの合計額(USドル)なし
16.4.2押収された武器の違法な起源追跡率なし
16.5.1過去12か月間に賄賂を支払った人の割合なし
16.5.2過去12か月間に賄賂を支払った企業の割合なし
16.6.1当初承認予算に占める第一次政府支出の割合あり
16.6.2公共サービスに満足した人の割合あり
同 教育サービス教育サービスの満足度なし
同 政府サービス政府サービスの満足度なし
16.7.1国・地方の公的機関における役職の割合あり
16.7.2政策決定過程が包摂的と考える人の割合なし
16.8.1開発途上国の国際機関メンバー数・投票権割合※世界全体
16.9.1行政機関に出生登録された5歳以下の子供の割合あり
16.10.1ジャーナリスト等に対する暴力事件の立証事例数なし
16.10.2情報アクセスを保障した政策の実施国数あり
16.a.1パリ原則に準拠した人権機関の存在有無あり
16.b.1差別または嫌がらせを感じた人口の割合なし

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