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REPORT

地方創生と国際協力のバウンダリー(境界)を超える-第22回自治体とNGO/NPOの連携推進セミナーを開催しました

NOV.12.2019

地方創生と国際協力のバウンダリー(境界)を超える-第22回自治体とNGO/NPOの連携推進セミナーを開催しました

JANICが共同運営する市民国際プラザでは、自治体とNGOの連携に関する先進事例紹介やネットワーク機会の提供を目的にセミナーを開催しています。国際協力と地域活性化をテーマにした8月9日の第22回には、自治体、国際交流協会、NGO/NPO、企業、国際機関、教育機関(大学教員、大学生、高校生)などさまざまなセクターから60名が参加し、多様な視点から国際協力と地域のつながりについて考える機会となりました。

地域の国際協力・多文化共生の推進20年を通して見えたきたもの

JANICは、NGOと他セクター連携の一環として、地方自治体の共同組織である(一財)自治体国際化協会(CLAIR)と共に市民国際プラザを運営して20年になります。これまで、地域の国際協力・多文化共生の推進と、自治体と市民社会組織の連携・協働のサポートに取り組んできた中で、国際協力の双方向性が地域資源の再発見に大きな可能性を持っていることに着目し、“双方向の学び合い”を今年度のセミナーテーマとしました。

国際協力は先進国から開発途上国への貢献という一方向の活動と捉えられがちですが、日本とは異なる環境に身を置くことで支援する側の学びや成長につながる可能性を秘めています。また、日本での“あたりまえ”が実は“特別”であることの気づきにもつながります。セミナーでは、国際協力を行った結果として双方向の学びにつながった事例や、当初から学び合いを目指した取り組みを紹介しました。

地域におけるSDGs推進の現状から各プロジェクトを3つの先進事例を通して紹介

はじめに、導入としてSDGsと地域におけるSDGs推進の現状を(一財)SDGs市民社会ネットワークの新田英理子氏に概観いただいた後、地域づくりや人材育成で成果を上げている3つの先進的な連携事例を、自治体・NGO双方の視点から発表いただきました。

 (一財)SDGs市民社会ネットワークの新田英理子氏

一つ目の事例は、公民館や住民自治の仕組みをフィリピンの農村に根付かせ、参加型地域社会開発に取り組んだ長野県飯田市による長期的なプロジェクトについて、長野県生涯学習推進センターの木下巨一所長、飯田市竜丘公民館の新井主事にご紹介いただきました。簡易水道設備管理のために自治組織づくりの支援を行った3年間のプロジェクトが、飯田型公民館の設置やコミュニティ開発人材の育成といった14年間にわたる地域力の向上・コミュニティ開発支援にまで発展しています。

長野県生涯学習推進センター 木下巨一所長(左)、飯田市竜丘公民館 新井主事

続いて、NPO法人クロスフィールズによる「留職プログラム」(社会課題に取り組む新興国のNPOや企業と共に課題解決に挑み、リーダー人材育成と新興国の社会課題解決を同時に実現することを目指すプログラム)の自治体での初導入事例を同団体の荒井淳佑氏、実際にインドのムンバイに派遣された茨城県つくば市役所の永井将大氏に発表いただきました。異文化で働くことでマインドセットが変わり、派遣先団体で成果をあげるだけでなく、「帰国後も以前とは異なる視点を持ってつくば市と地域住民のために業務を行うことができるようになった」と、更に意欲的に業務に取り組んでいる永井氏の実体験が紹介されました。

質問に答えるNPO法人クロスフィールズの荒井氏(左)とつくば市の永井氏

最後の事例紹介では、途上国と日本の学び合いを通じた「誰一人取り残さないまちづくり」の実践を目指し、横浜を拠点に国際協力と日本のまちづくりの両方を実践する野毛坂グローカルと神奈川県湯河原町との連携事例を、野毛坂グローカルの奥井代表と湯河原町役場の内藤参事にご紹介いただきました。湯河原町では、野毛坂グローカルの働きかけにこたえる形で、介護保険制度の導入が検討されているタイから自治体幹部の視察団を受け入れ、高齢者介護や健康増進活動のノウハウを共有しています。その結果、タイ側の学びだけではなく、湯河原町の介護関係者のモチベーション向上や、インバウンド観光への波及効果が生まれています。また、ブンイトー市と湯河原町で協定が締結され本格的な相互協力関係にもつながりました。

野毛坂グローカル 奥井代表(右)と湯河原町役場 内藤参事のご発表

地方創生と国際協力のバウンダリー(境界)を超えて

後半は登壇者によるパネルディスカッションで各事業における成果、苦労話、課題などを伺い、参加者との質疑応答も行いながら考えを深めました。各プロジェクトで連携・協働をした自治体とNGO双方から意見を聞くことで、プロジェクトの概要のみならず実体験が伝わる立体的なディスカッションとなりました。開発途上国の現場に身を置き、現地の人びとと接することで得られた日本人側の学びや、マインドセットの変化、モチベーション向上の様子、地域づくりや地域の持続性における「内発的開発」 を促す手法の重要性も確認されました。

パネルディスカッションでは、連携の難しさや資金面での課題について質問がありました

いずれの事例も国際的なつながりが地域の課題解決に資する学び、日本の地域の形成につながるような地方創生と国際協力のバウンダリー(境界)を超える事例ともいえます。市民国際プラザでは、今後もこうした取り組みを紹介し、また、多様なアクターが集い、次なる試みにつながる場の提供をしていきたいと思います。

市民国際プラザWEBサイト http://www.plaza-clair.jp/index.html
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