お話をうかがったスタッフの方
支援者サービス担当 森本 由布子さん
現在、シェアで支援者サービスを担当している森本さん。国際協力に興味を持ったきっかけを伺いました。
「中学生のころ、父の仕事の都合でアメリカに滞在する機会がありました。日本人が誰一人いないところで生活をして、日本人であることを自覚しました。アメリカの中で『人種』を意識しました。それから大学で国際関係を勉強しているころ、インドに行ったんです。インドは本当に貧富の差が激しくて、裕福なお屋敷の塀づたいに、多くの人たちが野宿しているというような、まさしく『差』を感じました。そのころから、国際協力のフィールドに興味を持つようになったと思います」。
大学を卒業後、森本さんは企業に就職し、そしてシェアに転職。その中での気持ちの移り変わりをお聞きしました。「企業には4年間勤めましたが、国際協力への気持ちはそのまま持っていました。大学時代の私は、途上国への一方的な支援ではなく、企業の営利活動が途上国の開発に繋がるという形に関心を持っていました。しかし、企業の国際部門で働く内に、現実の難しさも理解するようになりました。純粋に国際協力に関わりたいのであれば、今、方向修正をした方がいいのではないか。ちょうどそんな時に、大学時代の教授が国際協力活動中に亡くなったとことを知り、本当に自分がしたいことってなんだろうって深く考え始めたんです。そして会社を辞めて、シェアに転職しました」。
森本さんに今までで苦労したことをお伺いしました。「シェアの活動は、どれも時間がかかるものです。特に私は、日本国内で事業を担当していたので、現地にずっといるわけではないんですね。活動の成果はすぐに出るわけではないし、日本で海外事業を支えることの必要性はわかっていても、もどかしさを感じることもあります。その分、現地の人々の言葉やスタッフの報告から変化が感じられた時のうれしさは大きいです。現地と東京と離れている分、スタッフ間の密なコミュニケーションは大事だと思いますね」。
最後に、森本さんに今の夢をお聞きしました。「NGOって特殊な人たちだけが関わるような、どこか不思議な団体というイメージってまだまだあって、認知度もまだ高くないと思うんですね。でもこの先、NGOが一般企業と同じように就職先の選択肢の1つとして、何かしたいと思っている人たちを受け止められる組織に変わっていくといいなと思います。そのプロセスに自分も関わっていけたら楽しいですね。」と答えてくれました。
また、現在子育てをしながらシェアでお仕事をされている森本さんに、今後のNGOとの関わりについて聞いてみました。「私自身、NGOと10年ほど関わっていますが、NGOとの関わり方って変わるものだと思うんです。子どもがいないころ、NGOで働くことは、気持ち的にも時間的にも仕事:プライベートが7:3という感じでした。子どもが生まれてからは、仕事とプライベートがちょうどフィフティフィフティ。もしかしたらこれから先、両親の介護が必要になることだってあるでしょう。そんな長い人生の中でその時その時の自分に合った形で関わっていける、そしてその多様性を受け入れられる組織になるといいなぁって思いますね。頑張りすぎてもえつきてしまわないよう、無理の無い形で息の長い繋がりをもてるような、そんな組織になるのが理想的だと思います。」
「医療」という言葉にはしばしば、高度な技術に基づく先端医療のイメージがついてまわります。しかしながら、シェアが力を入れるのはより多くの人に最低限 の健康を保障するための「プライマリ・ヘルス・ケア」。高度な専門的技術なしにも現地での保健活動が継続できるように考慮した結果です。ここには、自分たちにで きるものは何かないかと探り始めた設立当時の強い思い、そして「国際保健協力『市民』の会」という名称に込められた深い意味合いが覗えます。根本的な人と人との関係を大切にする姿勢は、発足当初から現在の組織運営・スタッフの心根に強く受け継がれているのでしょう。
(JANICユース副代表 渡辺 もえ)
JANICユース http://www.janic-youth.org/(新しいウィンドウが開きます。)
保健医療支援まとめて募金
保護が必要なこどもの生活支援 まとめて募金
NGO個別募金:(特活)シェア=国際保健協力市民の会
お話をうかがったスタッフの方
支援者サービス担当 森本 由布子さん
「日本の医療も、今いろいろな課題を抱えていますが、基本的にとても整っていると思います。シェアが活動しているような国では、5歳まで生きられない子がたくさんいたり、妊娠や出産で亡くなってしまうお母さんがいるんですね。この医療の大きな差を見る中で、今、日本の私達ができることが何かあるんではないかなぁって思うんです。ぜひみなさんにもシェアの活動を知った上で、参加していただけたら、と思います。」
健康に毎日を送ること。それは決して当たり前にできることではなく、その後ろにはいつ病気になっても私たちをサポートをしてくれる「医療」や「保健システム」という存在が不可欠です。そういった全ての人が健康な毎日を送るための基盤作りに取組んでいるのが(特活)シェア=国際保健協力市民の会(Services for the Health in Asian and African Regions;シェア、以下シェア)です。今回は支援者サービスを担当している森本さんにお話を伺いました。
1983年に設立され、昨年25周年を迎えたシェア。その始まりは1970年代末に、インドシナ戦争の影響でカンボジア、ラオスなどの周辺国からタイへ多くの人々が難民として逃れた、いわゆるインドシナ難民救援活動でした。「シェアは、救援活動に参加した日本の医師や看護師、医療系学生などが自分たちが持ってる技術を活かして、人々のために役立ちたいという想いで立ち上がった団体なんです」と森本さん。それから25年、『すべての人に健康を』という目標のもと、現在のシェアの活動は多岐に渡ります。「最初は主に緊急支援を行いました。でも、避難キャンプでけがや病気を治した人が村に帰っても、知識や情報の不足、また栄養やの問題からその村で同じような病気にかかってキャンプ地に戻ってくるという現実を目の当たりにしたんです。結局は彼らが自分達の地域の中で健康を守ることができないと、根本的な解決には繋がらないのでは、そういう思いからより長期的に地域に入りこみ、地域保健を中心に活動するようになりました」。

村の巡回予防接種。保健ボランティアがサポートし、母子を集めたり情報を伝える。
『医療活動』や『保健活動』という言葉を聞いた時に思い浮かぶのは、医師や看護師を現地に派遣して医療を行っている姿かもしれません。しかし、シェアは現地でのプライマリ・ヘルス・ケアをとても大切にしています。「医師や看護師が高度な技術を持ち込むのではなく、シェアは現地にあるもので、シェアがいなくなった後も継続していく活動を心がけています。現地にあるもの活かし、現地にいる人たちが、現地でどんなふうに保健活動ができるのかを考えます。現地の人が自分たちの問題を解決するのを、側面からサポートする感じですね。どんな場所でも視点は同じです。医療にアクセスするのが困難な人たちができるだけ健康を維持できるように・・・、そういった想いで活動しています」と森本さんは話してくれました。

等身大の人形を使った、伝統助産師への出産介助トレーニング
現在シェアの活動の柱となっている活動は4つ。1つめは、カンボジアで実施している母子保健活動です。「この活動は妊娠、出産を迎えるお母さんや、生まれてきた子どもへのサポートです。安全な出産のために、出産介助をする伝統助産師へトレーニングを行なったり、母親たちに保健教育の他、妊婦検診や予防接種の情報提供を行なう保健ボランティアを育成したりしています」。
2つめは、東ティモールで行なっている保健教育活動です。10年前の1999年、東ティモールの「独立」後、独立反対派の民兵等によって、学校や診療所などのほとんどの公共施設が破壊されてしまいました。シェアの東ティモールでの活動はこの時始まった、と森本さんは話してくれました。「ちょうどその時に、たくさんの声がシェア内部からも支援者さんからも上がったんです。この悲惨な状況だからこそシェアができることがあるのではないかと。そこで最初は緊急医療活動を行い、そこから復興支援に、そしてそれは地域に密着した保健活動に変わっていきました」。
現在も活動は続いています。「今は保健教育活動に力を入れています。例えば学校で行なう保健教育活動では、とても基本的なことなんですけど、トイレに行ったら手を洗うとか、栄養に気をつけて食事をとるとか、病気にならないためにどんなことに気をつけたら良いのか、そういったことを伝える活動をしています。教育方法も大切でパネルシアターを行ったり、劇をしたりと、楽しみながら学べるように工夫しています。例えば結核のお父さんからどのように子どもにうつり、どうやって治していくかというのを劇でやります。活動地には字が読めない人もいます。目で見て、感じて分かる教育を心がけています」。

保健教育ツール:パネルシアター
そして3つめは、タイや南アフリカでのHIV/エイズの活動です。「シェアではHIV陽性者グループの活動をサポートしたり、病院と協力して抗ウイルス薬の服薬支援などを行なっています。また、地域の中での啓発活動も実施しています。HIV陽性者も地域の中で共に生きていくというところでのケア、みんなと一緒に支えながら生きていくということへの活動に重きを置いています」
そして最後に、日本に住む外国人の人々へのサポートです。「言葉の問題、医療費の問題など、医療の進んだ日本にいながら、医療サービスを受けることの出来ない人たちがいます。無料の健康相談会や英語やタイ語での電話相談、医療通訳の育成や派遣などを行なっています。」と森本さん。そして、こう続けられました。
「世界を見ると、最低限の医療にさえアクセスできない人がたくさんいます。その中でシェアができることは本当にわずかかもしれない。けれどそんな人たちが自分で自分の健康を守る術を知ったり、近くの保健センターを利用することによって、明日も健康に生きていってほしい。その想いは、活動場所や活動内容にかかわらず、シェアの活動全体の根底に流れているものなんです」。
家庭訪問の様子。エイズ治療投薬の内服状況や体調をリーダーが確認している。
住民が主体的に参加できるようなプロジェクトを目指す、シェア。その活動のきめ細やかさには、とても感心させられました。最近では企業と連携した取り組みも進めているそうですが、今後展開されるシェアの活動がとても楽しみになりました。
(JANICユース総務チームリーダー 吉野 宮奈)
JANICユース http://www.janic-youth.org/(新しいウィンドウが開きます。)
保健医療支援まとめて募金
保護が必要なこどもの生活支援 まとめて募金
NGO個別募金:(特活)シェア=国際保健協力市民の会