『みんな一緒に』
お話をお伺いしたスタッフの方々
![]() |
![]() |
| 野口千歳さん (常務理事・事務局長) |
濱岡良子さん (事業部会計補佐) |
スタッフからのメッセージ
「途上国で起こっていることを『自分と関係ないところのこと』と思わないで、興味や関心を持ってほしい。日本にいる一人の人間として、どういう風に関わっていけるか、考えていただきたいなと思います。ホームページや報告会などを通して、世の中でこういうことが起きているんだなということを認識して、何らかのアクションを起こしていただきたいです。」(野口さん)
世界で最も貧しい人達のために
性別も生まれた場所も、関係ない。全ての人が平等にチャンスを持って、みんなで一緒に成長していけたらどんなに良いだろう。世界の格差や差別に触れ、このような思いを持ったことのある人は、少なくないのではないでしょうか。今回ご紹介する財団法人 ケア・インターナショナル ジャパン(以下CARE)は、その目標に向かって活動する団体です。
「CAREの活動は、途上国の最も貧しい人達の自立を支援するというところにあります。自立を支援する方法もいろいろありますが、CAREは緊急支援から復興支援、開発支援までを通して、自立を支援しているんです」。常務理事・事務局長の野口千歳さんは、CAREをこう語ります。今回は、野口さんと、事業部会計補佐の濱岡良子さんに、お話を伺いました。
![]() |
![]() |
![]() |
始まりは、ケア・パッケージの配布から
CAREは、ケア・インターナショナルという、独立した12のメンバー国によって構成されるNGO の日本のメンバー団体です。CAREは、約500人の国際専門スタッフと約13,000人の現地スタッフを有する、年間約800億円にのぼる支援を手がける世界でも規模の大きいNGO。1945年11月に第二次世界大戦の被災地を支援するため、アメリカの22の市民組織が協力したことから始まった団体です。
設立当初の活動は、食料・衣類などの生活必需品が詰められた「ケア・パッケージ」という箱を被災者に送るというもの。その支援の手は日本にも差し伸べられ、1948年より8年間にわたって、当時の金額で290万ドルの支援を1000万人の日本人が受けたそうです。そして次第に活動の幅を広げ、現在は緊急支援から収入向上・教育・保健衛生・環境・農業開発・HIV/AIDS、政策提言まで、多岐にわたる分野で自立を促す活動を展開する大規模NGOとなっています。
CAREの前身であるケア・ジャパンは、1987年に設立されました。1993年に財団法人の形となり、現在のCAREに至ります。野口さんによると、ケア・インターナショナル ジャパンには3つのフォーカスがあるそうです。「一つ目は、緊急復興支援を含めた人道支援。二つ目は、HIV/AIDS。三つ目は、女性と子どもです」。現在、アジアからアフリカまで、これらに焦点をあてた活動を行っています。
カンボジア・ココン州の"一押しプロジェクト"
CAREは、数多くのプロジェクトを手掛けています。その中でも"今一押しのプロジェクト"が、カンボジアでの"青年男女の能力向上プロジェクト"。首都プノンペンから車で5時間かけてたどり着くココン州が舞台です。 タイとの国境近くのこの州の村々では、人身売買や売春が多発しており、人々のドラッグ使用率やHIV/AIDSへの感染率も高い状態にあります。「経済的な貧しさと[CN1]、ドラッグなどの社会的な問題が合わさって、非常にチャレンジングな状態になっている」。そう野口さんは状況を表現します。ここに住む大人や青少年、女性や子供を守るためのこのプロジェクトの様子を、先月同州に視察に行かれた濱岡さんに聞きました。
村の生活に溶け込む、識字教室
濱岡さんいわく、このプロジェクトには、4つのポイントがあるとのこと。
第一のポイントは、識字教育。約10の村で、識字教室を運営しています。1クラスは、約20名。14歳から24歳の若者達が生徒です。彼らの仕事は農業や漁業で、例えば、エビや白身の魚を釣って仲介人に売ること。仲介料が高く、儲けは少ない職です。でも「彼らは家族の生計を支えているので、小学校3年生まで進めなかった」(濱岡さん)といいます。だから、彼らの多くは文字をきちんと読み書きしたり、簡単な計算をすることができない。収入額を、識字レベルを計るプレテストの結果と並んで、教室の生徒を選ぶ基準の一つとしているのはそのためだそうです。
この識字教室の特徴は、授業は夜の実施がほとんどであること。理由は、「日中は働いているから、学校に行く時間がない。だから授業が夜6時半から7時のスタートになる」から。次に、教室はあえて新しいものをつくらず、教師の自宅などの「そこにあるものを使って行っている」こと。そしてこの教室の運営は、「生徒の代表」・「生徒の親の代表」・「村の代表」の3人を中心とした"運営をチェックする組織"を中心としてなされていくこと。「村の教室として、CAREのスタッフではなく、自分達で教室を運営できるように頑張ろうとしているのです。」と、濱岡さん。彼らの生活にすんなりと溶け込むことのできる、"彼らのための教室"づくりが、進められているのです。
地域の未来を変えるため、生活力・収入力をつける
第二のポイントは、ライフスキル。ライフスキルとは、"生活力をつける"ことを意味するという。「単に読み書きや計算ができたりするというだけではありません。例えば、人買いが来た時にどう交渉すればよいか、危険な目に遭いそうになった時に、それをどう回避できるか。それが重要です。判断力や交渉力をつける教育をしていきます」。と濱岡さん。
そして第三に、生計向上。「貧しさから、売春や出稼ぎに出てしまったりするのが問題です。手に職をつけたりして、いかに収入を確保する手段を得るかというところに焦点を当てています。いかに地域で生活を安定させられるか。今と変わらない未来ではなく、彼らにとってよりよい生活が送れるようになるための教育が大事ですね」と、濱岡さんは説明してくれました。
みんなで問題解決のための、リーダーシップを学ぶ
![]() リーダーワークショップ講義の様子 |
![]() アンテナ作りの様子 (同WSにて) |
最後のポイントは、若者育成。自分で問題を見つけて解決していくことができるように、リーダーシップ育成のためのワークショップを行っています。それは、概念を教えるところから始まるそうです。 「小学校3年生以降、教育を受けていない彼らに『リーダーシップ』と言っても分からないですよね。彼らには、組織的に活動するという概念がないんです。なので、概念作りから始めます。 例えば、ワークショップで数人のグループを作って、「ストローでアンテナを作る」というタスクを行います。まず、各グループから1人ずつ代表を呼んで指示を出すんですよ。あなたはこんな感じで独裁的な感じのリーダーになって、それからあなたは民主主義な感じのリーダーに、という風に指示を出します。グループに戻った彼らはそれぞれのリーダーとして、アンテナ作りを指示する。もちろん、グループによって出来が違ってきます。そこで気付くんです。この違いは何なんだろうって。ゲーム感覚を取り入れながら、彼ら自身にリーダーシップの違いを考えてもらうんです」。 濱岡さんが視察したワークショップは、3日間行われました。参加者は、各識字教室から選ばれた男女混合の生徒や運営の代表者達です。このワークショップで、参加者の目つき顔つきが変わるんです、大成功だったんですよ、と目を輝かせて濱岡さんは振り返ります。
青少年のリーダーシップ育成ワークショップ
みんな一緒に、やっていく
ココン州のプロジェクトでは、これらの4つのポイント全てを複合的に、同時進行で行っているといいます。「だから、本当に難しい」と 濱岡さん。しかし、CAREにはそれを可能にする秘訣があります。 それは、"みんな一緒に"ということ。例えば、CAREがカンボジアで多く取り組んでいる女子教育の場合。「女子教育のプロジェクトで あれ、女性だけを対象としていることは、CAREではありません。女性が社会の中でどういう位置づけにあるかということは、そのコミュニ ティーの中で形作られている。だから、女性とその他の人達の関係がどう変わっていくか、どう権力構造が変わっていくかが大事なんです 。だから、女の子だけに、ではなくて、みんなで一緒にプロジェクトをやっていく。大人も子供も青少年も」。そう、野口さんは言われま す。確かにココン州のプロジェクトも、多面的な活動を平行して行うことで、無理なく村全体が関わる・成長するのがわかります。
何事も、失敗は成功の元
野口さんは、そう言って穏やかに微笑まれました。"みんな"を見て、"みんな"のために動く。このCAREの姿勢が、途上国の最も貧しい人達の自立支援という困難な課題にCAREが対応できる、本当の理由なのかも知れません。
インタビュー編集後記
私も、きっと誰もが幼少期に一度は言われたであろう、"みんな一緒に"という言葉。その本当の意味はこれだったのか、と思わず口にしたくなるような支援が、CAREの支援です。暖かくカンボジアを包んでいるCAREを、ぜひ応援してください。
(JANICユース 代表 小堀優井)
JANICユース http://www.janic-youth.org/(新しいウィンドウが開きます。)
JANICユース 代表 小堀優井
マネジメントチーム 伊藤彰子
[編集協力]
同マネジメントチーム 小松崎瞳








