『医療の枠を超えて』
お話をうかがったスタッフの方

エフテル・プリュンさん(事務局長)
日本とフランス
母国フランスを離れ、日本でMDM日本事務局長として働く、エフテル・プリュンさん。国際
協力に興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか。
「小さい頃から弱い人の立場に、興味はありました。学生時代、フランスではよく炊き出し
に参加したりもしていました。当時はアフリカやアジアからの移民の方の相談にものったりし
ていましたね。私の中に、国内支援と国外支援を分けるという感覚はなかったんです。」とプリ
ュンさん。
そして京都大学への留学、フランスでのMBAの取得、IT企業への入社、日本に戻りたいとの
思いからのフランス大使館での勤務などを経て、MDMへ。華麗なキャリアの中でMDMを選ばれ
た理由を、とてもうれしそうに話してくださいました。「もともと、MDMはフランスで有名な団
体でした。昔から国際協力の仕事に憧れていたこともあって履歴書を送ったんです。そうした
ら運よく日本での仕事が決まり、また日本に戻ることができたんです」と。

エフテルさん、ギニアにて
意識の逆転の発想
これまで活動してきたなかでつらかったことを尋ねると、一つは「プレッシャーですね。今
までとは全く違った分野だったので、成果を得るまでは大変でした」と答えてくれました。そ
してもう一つが、日本とフランスの違いであったそうです。欧米に比べ、国民の国際協力への
意識が薄いといわれている日本。様々な苦労があったことと思います。でも、プリュンさんは
こう話してくださいました。「確かに、意識の違いを感じたことはありますね。でもそれは、強
みにもなると思うんです。日本の国際協力への意識は、まだ低いかもしれない、だからこそ紹
介する価値があると私は思いますね。日本の文化や社会構造など、日本の独自性を守りながら
多様性を受け入れることができるようになるといいんじゃないかなと思います」。
胸に抱くポリシー
活動の中で、エフテルさんが大切にしているポリシーがあるといいます。それは、「常に使命
は何なのかと考えること」。
「たとえば、ストリートチルドレンのHIV予防活動。彼らにコンドームを何個配布したかは
目的ではないんです。何人の子供達が元の家に戻れたか、病気から回復したか。そこが大事な
んですよね。だからこそ、最終的な目的は何なのかをいつも考える必要があるんです。怪しい
団体さんからお金をいただいたときに、何も怪しまずパーッと支援に回してしまうのも違いま
す。そのお金はいったいどこから来ているのか、きちんと知らなければいけないと思うんです。
そうやって使命を理解していれば大きく道が外れることはありません」。
きらきらの未来
エフテルさんに、今までで一番うれしかったことをお伺いすると、目をきらきらさせながら
こう、話し出してくれました。「いろいろありますけど、一番はプロジェクトの展開が進んでい
ることですかね。世界の医療団では「スマイル作戦」といって、顔面の奇形などを治療するプ
ロジェクトをずっと行ってるんですが、それをバングラディシュで始めたんです。バングラデ
シュは今まで入っていない地域だったので画期的なことでした」。
では、なぜそれはバングラデシュだったのでしょうか。「カンボジアでのスマイル作戦に参加
してくれた医師が、アドバイスしてくれたんです。バングラデシュにも、奇形で苦しむ子供達
がいる。でも形成外科はいないんだって。それでプロジェクトを始めることにしたんです。」ま
さに世界中にネットワークを持つMDMの団体プレーです。
ニジェールで行ったスマイル作戦 マダガスカルで行ったスマイル作戦
そこでエフテルさんに、今後やってみたいプロジェクトも、お伺いしました。「アジアでの母
子保健プロジェクトですね。今までアジアではHIVの予防と治療をやってきたんですけども、
出産することでお母さんや子供が命を落とす危険がある地域がたくさんあるんです。そのため
に母子保健プロジェクトを、ラオスやネパールでやっていきたいなぁと思います」。

ネパールで母子保健プロジェクトの対象となる母子
これからの夢
「世界の医療団としての夢は、もっともっと医療ミッションを果たして、提言活動も活発に していくことですね。あと、私自身の夢はアフリカの芸術を日本で紹介することです。芸術は 価値観やダイナミズムを伝える手段だと思うので」。「支援されている」という印象だけのアフ リカではない、いろいろなアフリカを紹介したいと、笑顔で語ってくれました。
インタビューを終えて
今回のインタビューで1番印象に残ったのは目をきらきらさせながらお話をしてくださるプ
リュンさんの姿勢です。自分の仕事を楽しみ、誇りに思っているからこその輝きだと思いまし
た。医療の枠を超えて、世界で弱い人々の立場になって支援の方法を考えるという点に、国際
協力の真のありかたについて教えていただいた気がします。世界中で起きていることは私達と
繋がっていること、そしてそれに一緒に向かい合っていく大切さを学びました。
(JANICユース マネジメントチーム 小松崎瞳)
JANICユース http://www.janic-youth.org/(新しいウィンドウが開きます。)
国際協力NGOセンター有志グループ(JANICユース)
代表 小堀 優井、副代表 渡辺 もえ
広報チームリーダー 石下 由加、総務チームリーダー 吉野 宮奈
マネジメントチーム 小松崎 瞳(編集)

