『想いを込めて命を守る』
お話をうかがったスタッフの方
支援者サービス担当 森本 由布子さん
森本さんからのメッセージ
「日本の医療も、今いろいろな課題を抱えていますが、基本的にとても整っていると思います。シェアが活動しているような国では、5歳まで生きられない子がたくさんいたり、妊娠や出産で亡くなってしまうお母さんがいるんですね。この医療の大きな差を見る中で、今、日本の私達ができることが何かあるんではないかなぁって思うんです。ぜひみなさんにもシェアの活動を知った上で、参加していただけたら、と思います。」
健康に毎日を送ること。それは決して当たり前にできることではなく、その後ろにはいつ病気になっても私たちをサポートをしてくれる「医療」や「保健システム」という存在が不可欠です。そういった全ての人が健康な毎日を送るための基盤作りに取組んでいるのが(特活)シェア=国際保健協力市民の会(Services for the Health in Asian and African Regions;シェア、以下シェア)です。今回は支援者サービスを担当している森本さんにお話を伺いました。
すべての人に健康を
1983年に設立され、昨年25周年を迎えたシェア。その始まりは1970年代末に、インドシナ戦争の影響でカンボジア、ラオスなどの周辺国からタイへ多くの人々が難民として逃れた、いわゆるインドシナ難民救援活動でした。「シェアは、救援活動に参加した日本の医師や看護師、医療系学生などが自分たちが持ってる技術を活かして、人々のために役立ちたいという想いで立ち上がった団体なんです」と森本さん。それから25年、『すべての人に健康を』という目標のもと、現在のシェアの活動は多岐に渡ります。「最初は主に緊急支援を行いました。でも、避難キャンプでけがや病気を治した人が村に帰っても、知識や情報の不足、また栄養やの問題からその村で同じような病気にかかってキャンプ地に戻ってくるという現実を目の当たりにしたんです。結局は彼らが自分達の地域の中で健康を守ることができないと、根本的な解決には繋がらないのでは、そういう思いからより長期的に地域に入りこみ、地域保健を中心に活動するようになりました」。

村の巡回予防接種。保健ボランティアがサポートし、母子を集めたり情報を伝える。
同じ視点で
『医療活動』や『保健活動』という言葉を聞いた時に思い浮かぶのは、医師や看護師を現地に派遣して医療を行っている姿かもしれません。しかし、シェアは現地でのプライマリ・ヘルス・ケアをとても大切にしています。「医師や看護師が高度な技術を持ち込むのではなく、シェアは現地にあるもので、シェアがいなくなった後も継続していく活動を心がけています。現地にあるもの活かし、現地にいる人たちが、現地でどんなふうに保健活動ができるのかを考えます。現地の人が自分たちの問題を解決するのを、側面からサポートする感じですね。どんな場所でも視点は同じです。医療にアクセスするのが困難な人たちができるだけ健康を維持できるように・・・、そういった想いで活動しています」と森本さんは話してくれました。

等身大の人形を使った、伝統助産師への出産介助トレーニング
根底にある想い
現在シェアの活動の柱となっている活動は4つ。1つめは、カンボジアで実施している母子保健活動です。「この活動は妊娠、出産を迎えるお母さんや、生まれてきた子どもへのサポートです。安全な出産のために、出産介助をする伝統助産師へトレーニングを行なったり、母親たちに保健教育の他、妊婦検診や予防接種の情報提供を行なう保健ボランティアを育成したりしています」。
2つめは、東ティモールで行なっている保健教育活動です。10年前の1999年、東ティモールの「独立」後、独立反対派の民兵等によって、学校や診療所などのほとんどの公共施設が破壊されてしまいました。シェアの東ティモールでの活動はこの時始まった、と森本さんは話してくれました。「ちょうどその時に、たくさんの声がシェア内部からも支援者さんからも上がったんです。この悲惨な状況だからこそシェアができることがあるのではないかと。そこで最初は緊急医療活動を行い、そこから復興支援に、そしてそれは地域に密着した保健活動に変わっていきました」。
現在も活動は続いています。「今は保健教育活動に力を入れています。例えば学校で行なう保健教育活動では、とても基本的なことなんですけど、トイレに行ったら手を洗うとか、栄養に気をつけて食事をとるとか、病気にならないためにどんなことに気をつけたら良いのか、そういったことを伝える活動をしています。教育方法も大切でパネルシアターを行ったり、劇をしたりと、楽しみながら学べるように工夫しています。例えば結核のお父さんからどのように子どもにうつり、どうやって治していくかというのを劇でやります。活動地には字が読めない人もいます。目で見て、感じて分かる教育を心がけています」。

保健教育ツール:パネルシアター
そして3つめは、タイや南アフリカでのHIV/エイズの活動です。「シェアではHIV陽性者グループの活動をサポートしたり、病院と協力して抗ウイルス薬の服薬支援などを行なっています。また、地域の中での啓発活動も実施しています。HIV陽性者も地域の中で共に生きていくというところでのケア、みんなと一緒に支えながら生きていくということへの活動に重きを置いています」
そして最後に、日本に住む外国人の人々へのサポートです。「言葉の問題、医療費の問題など、医療の進んだ日本にいながら、医療サービスを受けることの出来ない人たちがいます。無料の健康相談会や英語やタイ語での電話相談、医療通訳の育成や派遣などを行なっています。」と森本さん。そして、こう続けられました。
「世界を見ると、最低限の医療にさえアクセスできない人がたくさんいます。その中でシェアができることは本当にわずかかもしれない。けれどそんな人たちが自分で自分の健康を守る術を知ったり、近くの保健センターを利用することによって、明日も健康に生きていってほしい。その想いは、活動場所や活動内容にかかわらず、シェアの活動全体の根底に流れているものなんです」。
家庭訪問の様子。エイズ治療投薬の内服状況や体調をリーダーが確認している。
インタビューを終えて
住民が主体的に参加できるようなプロジェクトを目指す、シェア。その活動のきめ細やかさには、とても感心させられました。最近では企業と連携した取り組みも進めているそうですが、今後展開されるシェアの活動がとても楽しみになりました。
(JANICユース総務チームリーダー 吉野 宮奈)
JANICユース http://www.janic-youth.org/(新しいウィンドウが開きます。)
国際協力NGOセンター有志グループ(JANICユース)
副代表 渡辺 もえ
総務チームリーダー 吉野 宮奈
マネジメントチーム 小松崎 瞳
参加しているNGOサポート募金
保健医療支援まとめて募金
保護が必要なこどもの生活支援 まとめて募金
NGO個別募金:(特活)シェア=国際保健協力市民の会

