『問題の根本に取り組む』
お話をうかがったスタッフの方
東京事務所 広報/コンサート事務局 石川 朋子さん
石川さんからのメッセージ
「例えば、日本で使う1000円があれば、カンボジア人1人がお米を作る研修が受けられるんです。その研修で人生が変わるんですよね。パレスチナでは、500円で栄養価の高いビスケットを子どもたちが手にすることができる。500円、1000円が大きな力になるんです。日常の中でのワンコインが、すごく大きな力になる。その力を託していただけたらと思います」。
「問題の根本に取り組む」というポリシーを持ち、世界各国でFuture(未来)を創り出している日本ボランティアセンター(Japan International Volunteer Center: JVC、以下JVC)。今回は、JVCでコンサート運営に携わっている石川さんにお話を伺いました。
「キャンプに逃げてこられなかった人も、いる」-タイの難民キャンプ支援で-
JVCの始まりは1980年。ちょうどベトナム戦争後、カンボジアやラオスから何十万人もの人がタイの難民キャンプに逃れてきた1970年代末に、「自分たちも何かできないか」とキャンプに駆けつけた日本の若者たちが集まりJVCが誕生しました。
そんな彼らがタイの難民キャンプで緊急支援を行い、復興に近づくにつれて気づいたことがあるといいます。「当時、タイの難民キャンプに逃げられた人はラッキーだったかもしれない。でも逃げられなかった人は、どうなんだろう。応急処置をしても難民は出続ける。これ以上、難民が出ないようにするにはどうすればいいのか。そう考えたときの答えが、「難民を出さない村づくり」だったんです。この問題の根本に関わっていく姿勢が、JVCのポリシーになりました。その後、エチオピアで飢饉が起きたり、活動する場所は最初は点のようなものだったのですけど、『困難な状況にある人を救いたい』という強い思いが繋がって様々な場所で活動するようになったんですよ」。そう語る石川さんに、JVCの柱となっている3つのフィールドを教えていただきました。

ベトナムでの苗畑や植林活動
与えることよりも創り出す地域開発
1つ目の柱は地域開発だと石川さんは言います。地域開発は、緊急支援や復興協力とは異なり、特定の地域の抱える問題の根本を、その地域の住民自身が時間をかけて解決できるようサポートすることです。「例えばお米が足りないと現地の方に言われたときに、『はい、どうぞ』とあげるのではなく、足りない理由、どうやったら解決できるかを村人と考え、稲の植え方などの農法の研修を行ったり、米銀行のような相互扶助の仕組みを始めたり、自分たちで創り出す方法を考えるんです。もしずっと足りないから、とお米をあげ続けていたら、応急処置にはなっても、長い目で見ると何も変わらないんです。だからJVCは一緒に創り出す支援を行っているんです」。そう石川さんは説明してくれました。
各国が対面する問題はそれぞれですが、JVCは表面的な問題解決ではなく、根本改善となる支援を方針に活動を続けています。たとえば食料が不足しているラオスではみんなでお米を作り出し、ベトナムでは険しい山岳地帯で暮らしていけるように農法改善や植林協力を行っています。

ラオスでの「幼苗一本植え」による稲作
命と生活を守る人道支援
2本目の柱は、人道支援です。「人道支援も、JVCの重要な活動の柱になっています。紛争中であったり、またその直後の混乱期に、そこで生活している人々に何が必要か、JVCに何ができるのか。緊急時には、何よりも彼らの命と生活がかかってるんですよね」と石川さん。困難の中に生きる人々の、命と生活を守る支援がJVCの人道支援。最近では、2008年末からイスラエル軍の爆撃を受けたパレスチナ・ガザ地区へ緊急人道支援として募金を呼びかけ、特殊ミルク(普通のミルクを体が受け付けない病気の乳幼児には命綱)、緊急医療セット、栄養強化したビスケットや牛乳の配布を実施。停戦後、いち早くスタッフが特殊ミルクを手に、ガザに入り、家族へ届けました。この他にもイラクでの国内避難民への食糧配給や薬品提供、南部スーダンでの帰還難民への車両整備の技術研修なども行っています。

パレスチナでの食料支援
現場の声を集めてレポートする政策提言
3つ目の柱となるのが、政策提言です。JVCは、紛争地の人々の声を日本社会に発信し、政府や国際機関への働きかけも行っています。「現場で活動するJVCは、"現場の声を集めて日本社会、政府に伝える"ということも重要な役割だと思っています。緊急支援物資を配るだけではなくて、どうして紛争が起こったのか、焦点を根本的な理由に向けて、現場でみえてくることを、現地の人の声、状況を国や政府に訴えるんです。またODAなどのためのアドボカシー活動も行います。現場の活動だけで変わらない問題は、また、社会の構造に問題がある場合には、解決すべく当事者の声を伝えていくことが必要なんです」と石川さんは、その理由をおっしゃいました。

中東シンポジウム
インタビューを終えて
『問題の根本に取り組む』JVCの活動指針が、強く印象に残りました。それはきっと、先駆けとなってJVCを創った若者たちの、『自分達も何かできないか』という思いに通じるものなのでしょう。また、農業支援というまさに『根本の支援』が『自信を生み出す』という大きな次のステップへ自然に繋がったエピソードが、大変興味深かったです。ここにもまた、『根本』の安定の大切さがよく表れているように感じました。
(JANICユース 副代表 渡辺もえ)
JANICユース http://www.janic-youth.org/(新しいウィンドウが開きます。)
国際協力NGOセンター有志グループ(JANICユース)
副代表 渡辺 もえ
広報チームリーダー 石下 由加
編集:マネジメントチーム 小松崎 瞳

