『ニーズがあるところこそ、やるべきだ』
お話をお伺いしたスタッフ・インターンの方々
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| 瀬谷ルミコさん (事務局長) |
大塚理佐さん (インターン) |
スタッフからのメッセージ
「(特活)日本紛争予防センター(以下JCCP)では、『起こりうる紛争を予防する』、『1回起こってしまった紛争が再発しないようにするためにいかに支援していくか』ということを重視しています。現地の人たち自らが社会のなかに平和な要素を増やしていける力をつけるためのニーズに応えていきたい。また、日本と現場が、問題意識と理解を共有できるような場も提供していきたいです。」
(事務局長 瀬谷ルミ子さんより)
「なんとなく、言われてみればわかるけれど何をしたらいいんだろう、という人に、JCCPで平和構築や紛争予防に関する身近なキャリアをつくっていただけたらいいなと思います。」
(インターン 大塚理佐さんより)
紛争予防のためのNGO、JCCP
Prevention: 日本語で「予防」と訳されるこの言葉について、トーマス L.が唱えた格言がある。
“Prevention is better than cure”
日本語で、予防は治療に勝るという意味だ。それは、国際協力におけるフィールドにおいても当てはまる。今回の取材では、ともすれば「平和構築が平和づくりの中心」と思われがちの今日、紛争の予防に力を入れているNGO、(特活)日本紛争予防センター(JCCP)を訪ねた。
JCCPは、9年前にスタートした団体である。当時はまだ「紛争予防」という言葉は一般に使われておらず、「予防外交」という言葉がやっと一部の専門家の間で話題になっていた程度であった。そのような中で、日本としてもこの「予防外交」を本格的に研究してみる必要があるのではないか、外交に貢献する民間セクターをつくらなければいけないのではないか、という議論から生まれた日本国際フォーラム内の予防外交国際研究グループが、JCCPの始まりだ。2002年2月28日には法人格も取得し、上記フォーラムから独立し、現在もアフリカやアジアを中心に「紛争予防」に焦点をあてた活動を行っている。
紛争予防の必要性

紛争地の様子(アフガニスタン)
国内紛争では、国際法による交戦ルールが存在しない。残虐行為が横行し、一般市民が殺害の対象となるだけでなく、加害者にもなりやすい。民族間紛争では、民族浄化に及ぶこともある。深刻な人権侵害から逃れようと、多数の難民が発生する。 国内紛争は一度発生すると複雑化し、解決に多大な時間と犠牲、費用が必要になる。その為に、紛争発生前の対応をめざす紛争予防が求められるのだ。JCCP事務局長の瀬谷さんに、この紛争予防について伺った。 「予防のほうが難しいし、理解しにくいのは確かです。例えば、昨日私たちが事故や事件に遭わなかったことの理由を特定するのは難しいですよね。信号無視をしなかったから?ぼーっとしていなかったから?恨みを買わなかったから?例えそのようなことに不注意に生きていても、事件・事故に遭わない人はたくさんいる。紛争予防に対する支援を呼びかけるというのは、明日誰々が事件・事故に遭わないように支援してくださいと言うのと似ています。支援する側からすると、何もしなくても紛争なんて起こらないかもしれないなか、お金は出せない、と思われたりもします」。 実は、緊急支援など、何かが起こってからの支援は、ものが壊れていたりするために資金は集まりやすい。しかし、予防に集中したほうが、人命は失われなくて済むしコストもかからない。だから重点を置きたい。そう瀬谷さんは力説する。
現地の能力を強化するための、アフリカでの研修

アフリカでの研修の様子
JCCPが事業を行う際大切にしていることは、「現地の能力を強化する」ということだ。紛争が発生する要因は多くある。「紛争は、権力や利益を追求する一部の権力者の政治・経済闘争が原因である場合が多いが、そのときに民衆が教育を受けておらず中立的な情報を入手できない場合、仕事がなく不満を抱えている場合、貧困で明日の生活にも不安を抱いていたりすると、人々が煽られやすくなり、紛争への拡大につながりやすくなる。一度暴力や紛争が起こった社会は、完全に原因を解決する前に、また再発することが少なくない。紛争の発生や再発を防ぐためには、最終的には現地社会・周辺地域が紛争の拡大前に対処する能力を強化することが重要です。そのため、政府職員、軍人、警察官、国連職員、NGOを含む市民社会の機能・能力強化のための活動も行っています。」と、瀬谷さんは言う。 実際、紛争が起こっている国、起こりやすい国では、政府、軍、警察が腐敗していることが多い。そのため、JCCPでは現地の平和活動研修※において、文民も軍人も一緒に実務研修を受けるカリキュラムを組んでいる。このことで、相互理解が進むとともに、平和を作るなかで自分が担う役割について考える機会が生まれるのだという。※コフィ・アナン国際平和維持訓練センター、ケニアにおけるPKO訓練センター等にて行われている。
また、「現地のNGOの強化」という点では、今後現地NGOに対して平和研修における指導員研修、マネジメント研修も行っていく予定だという。まずは今年と来年、東アフリカ地域でいくつかNGOを選定して、パイロット的に施行するのだという。
地域をまとめる、カンボジアでの小型武器回収
JCCPが最も長く活動を行っているカンボジアでは、小型武器の回収事業から支援が始まった。情勢が安定し始めても、武器がまん延していると治安が確保されず、人々が不安を抱えることになる。紛争から落ち着きを取り戻したカンボジアでの紛争の再発を防ぐために、JCCPは小型武器回収と農村開発事業を行った。

カンボジアでの小型武器回収事業
しかし、武器回収するだけでは紛争予防にはならない、と瀬谷さんは言う。「まず、武器がきちんと管理された社会が安定した生活につながることを説明する。それから、一定の数の武器を集めた村には、希望する開発事業を行うことにしました。希望にあがる事業は、学校、井戸、橋建設など村によって様々でしたが、武器回収の必要性と村々にとって必要なものをコミュニティ内部で話し合って決めてもらいました。それによって、「治安を改善すること」が「村の復興」につながる、と人々の間で共有される。そして、村人同士が武器がきちんと回収・管理されているか、良い意味で気をつけあうようになる」のだそうだ。現地コミュニティの自立が、紛争の再発防止につながるのである。 現在は、カンボジアは、まだガバナンスの点からは課題もあるが、比較的安定し復興も進んでいる。そのため、JCCPの活動で現地の団体が出来るものは引き継ぎ、支援が届いていない地域・活動を行っていくべきだと考えているそうだ。
ひとを育てる、JCCPの支援
一方、日本国内では、国内研修、紛争予防人材ネットワークという人材ロスター制度、2007年度広島で実施された平和構築人材育成センター(HPC)の事業パートナーとして、人材育成を行っている。また、国内の大学、学術機関、自衛隊、地方公共団体などでも講座を開き、海外でも国内でも、将来を担う人財を育てているのだ。 「現地社会に十分な能力がつき、自分たち自身で平和構築・紛争予防を行えるようになるのがベストです。紛争直後に、現地社会の能力に限界がある場合は、外部がお手伝いしますが、長期的には現地社会が行えるようになるのがベストなんです」。この瀬谷さんの言葉は、被支援者の自立を何よりの目的としているJCCPの理念をとてもよく表している。
インタビュー編集後記
JCCPは、紛争予防・平和構築という言葉には収まらないほど、様々な活動をされているという印象を受けました。アフリカでの研修事業などの話には、どんどんひき込まれていきました。自分のすべきことを明確に持ち、社会のニーズに対するアンテナを常に張り続け、これからは次に紛争予防を学ぶ人への環境を整えたいとおっしゃった瀬谷さん。素晴らしい行動力と揺るがない精神力に、インタビュー後にはすっかり瀬谷さんのファンになってしまいました。
(JANICユース 広報チーム 野元由実)
JANICユース http://www.janic-youth.org/(新しいウィンドウが開きます。)
JANICユース 広報チーム 野元由実
同広報チーム 大澤麻里
[インタビュアー]
同マネジメントチーム 小松崎瞳



