『人は最大の資源である』
お話をうかがったスタッフの方

海外事業担当 佐藤 奈緒美さん
NGOの理事長を母に持って
「実は私の母は、ICAの理事長です」。
佐藤さんは子どもの頃から各国のICA事務所で、さまざまな国の方と生活していたといいます。「その頃から、国や食の違いについて興味がありましたね。今はもう感じませんが、小さい頃は途上国に行くたびに違和感を感じていたのも確かです」
。
一度は一般企業に就職し、再びICAに関わるようになったのは2002年。
「最初はお手伝いで、3ヶ月だけという感じでした。最初の仕事は、ベトナムの僻地の小学校に教材を届けること。首都ハノイから車で5時間、そこからいかだに2時間乗って、山を2時間登ってたどり着きました。とても疲れましたが、そこには色とりどりの衣装に身をまとった少数民族の喜んだ顔があったのです。その経験はなんとも言えない衝撃でした。私は現地にいる人をかわいそうと思ったことはありません。むしろ、文化に自信や誇りを持っているように見える。それから各国を周り、国際協力の役割を観察して、興味を持つようになりました。国際協力事業を経験して8年ですが、今も日々新しい出会いと発見でいっぱいです」。
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| 2002年ベトナム北部のムォン族が住む村の 小学校に教材を運んだ時の様子 |
多くの児童が教材を見に小学校へ押し寄せた |
互いに提供できるもの
年に1度、企業関係者を連れて現地に行くツアーの同行をしているという佐藤さん。
「ツアー参加者は20名ほどで、現地での反応は人それぞれ違いますが、みなさんすごく感動した、勉強になったとおっしゃいます。途上国と聞くと何もないように思われがちですが、そうではありません。例えば、現地の人の笑顔だったり、家族愛、懐かしさ、人間臭さだったり、感じるものがたくさんあります。支援を提供しているけれど、実は日本の私たちも心が洗われる経験を得たり、初心に戻ったりする。どちらもお互いに提供できるものがあると思いました」。
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| 北部の少数民族タイ族とモン族と一緒に 2000本の植林に成功 |
少しずつ姿を現し始めた恥ずかしがりやのモン 族たち |
何気ない発言から見えるもの
2007年にケニア人とご結婚された、佐藤さん。文化の違いからくる、新しい発見も多いといいます。夫から "アフリカ人として生まれた為、実現が難しい事リスト"を見せてもらった時のことを話してくれました。
「そのリストを見て、とても面白いと思ったのと同時に、日本人として生まれてきたことに感謝しないといけないと思いましたね。たとえば、ケニア人は日本人と比べて行動できる範囲が10分の1ぐらいではないですかね。教育を受けたとしても、日本人のようにアメリカに留学したり、旅行に出かけたり経験を積む機会を作ることがとても難しいのです。だけど、時々はっと気付かされることもあります。私にとっては何気ない発言なのですが、主人にとったら日本人のほうがケニア人よりも上だという発言に聞こえる場合があるというんです。相手の事を思って発言した言葉も、人によっては恩着せがましく聞こえるみたいです。そういうことって指摘されるまで気付かないものなんですよね。そういった発言を振り返るのを、忘れないようにしたいと思うんです。これが、コミュニケーションの面白いところでもあるのですが」。
人が好き
今までさまざまな国で活動を行ってきた佐藤さんに、苦労したことを聞きました。「国の文化に慣れるのに、私の場合、1ヶ月はかかることですね。でも2~3ヶ月もいると、そこの本当の文化も分かるようになります。日本にいても同じことかもしれませんが、建て前と本音といったようなものも分かってきますね」。
それでもこの仕事を続ける理由は何なのでしょうか。聞いたところ、とてもストレートな答えが返ってきました。「人が好きなんです。ここにいる人は何を言われると喜んで、何を嫌がるのか。そういったことを考えながら人を観察したり関わっていくことが好きなんです」。

マサイ族の女性と一緒に
夢は、支援事業がなくなること
最後に、佐藤さんに今後の夢をお伺いしました。
「ICAとしての夢は、無償支援という仕事がなくなることですね。そうなった時は、フェアな国際協力やビジネス、相互裨益活動などが盛んになると思うのです。個人的には、今1歳2ヶ月の子どもがいるのですが、ICAでの仕事を続けていきたいと思っています。国際協力のフィールドでは、出産をするとやめてしまう方も多いのですが、女性でも続けられる仕事として、全力で取り組んでいきたいと思っています」。
<インタビューを終えて>
現地の人の貧しさをかわいそうと思うよりも、彼らの感じている誇りに興味があったり、彼らが喜ぶ姿に惹かれて国際協力に携わるようになったという佐藤さん。佐藤さんの「無償支援という仕事がなくなればいい」という夢にとても共感しました。
(JANICユース 広報チーム 権 智娜)
JANICユース http://www.janic-youth.org/(新しいウィンドウが開きます。)
国際協力NGOセンター有志グループ(JANICユース)
総務チームリーダー 吉野宮奈
広報チーム 権 智娜





