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はいいいえ

(特活)地球の木 スタッフロングインタビュー前編

『柔軟に、現地のひとたちと“ムーブメント”を』 
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お話をお伺いしたスタッフの方

丸谷さん
丸谷さん (理事長)

スタッフからのメッセージ

「皆さまからいただきました募金は、ネパールで進めている『マンガルタール村 幸せ分かち合いムーブメント』に使わせていただきます。少数民族タマン族が多く暮らす村の高校を入り口に、教育の充実を進めながら、地域の貧困層の生活向上をめざします。高校生の人材育成に携わるのは、参加型開発ファシリテーターのカマル・フヤルさんはじめSAGUNのメンバー。村人主体の活動に若者の希望が育ちます。」(丸谷さん)

自分たちができることを、実践するNGO

途上国の人たちを支援したい。NGOを始めてみたい。そう思ったことがある方は多いのではないでしょうか。でも、実際に「だったら1か月に500円でいいから寄付をしよう!」と行動に移す人は、どのくらいいるのでしょうか。特定非営利活動法人 地球の木は、その行動を実際に起こしたところから始まり、今はカンボジア、ネパール、ラオスの人々に、柔軟な支援を届けている団体です。今回は、この地球の木の理事長である丸谷士都子さんに、お話を伺いました。

“お金では解決できない問題”を胸に

地球の木は、1991年に設立された団体です。当時悲惨な状況下にあったアフリカの飢饉を救うため、生活クラブ生協神奈川の組合員やスタッフがアフリカに"ランチ1回分をカンパして送る"活動「一食カンパ運動」を始めたことが、そのきっかけだそうです。しかし、次第に「アフリカには全く食料がないわけではなく、世界の経済の仕組みが餓えを作り出している、お金を送るだけで問題は解決できないのではないか」と考えるようになったのだそうです。そこで継続的な支援活動をしながら世界の仕組みと私たちの暮らしを考える活動をしようと、地球の木を設立しました。
最初は、日本にあるNGOに財政面での支援をし、報告会やスタディツアーなどで情報を得る活動形態をとっていましたが、1997年に始まったネパールのプロジェクトから、現地NGOと直接活動を進めることもおこなうようになりました。

私たちに何ができるか、ということを考え、活動する
カンボジアタケオ州の様子。水が乏しいため、乾季には全くといっていいほど農業ができない。
カンボジアタケオ州の様子。
水が乏しいため、乾季には全くといって
いいほど農業ができない。

地球の木の活動の目的は、「私たちの生活」と「途上国の生活」が、決して無関係ではないということを伝えることだといいます。たとえば、途上国の食料などが実際に日本にもたくさん輸出されているけれど、生産地では何が起こっていて、生産者の暮らしはどうなっているのかを知ることはあまりありません。事実を知り、その現実のなかで私たちに何ができるか、と考えること。「私たち自身の生き方をいつも考えながら、活動を考えているところが、地球の木です。」と丸谷さんはおっしゃいます。
最初に始めた活動は、フィリピンやカンボジアでの農業支援と、ラオスの職業訓練や森林保全でした。ラオスとカンボジアのプロジェクトでは日本国際ボランティアセンター(JVC)が、フィリピンでのプロジェクトでは日本ネグロス・キャンペーン委員会(現APLA)を通しておこなっていたそうです。

カンボジアの織物を売るために
織物センター
織物センター

現在行っている新しいプロジェクトについても、お話を伺いました。まずは、カンボジアのプロジェクト。2006年からカンボジアで最も貧しい地域のひとつであるタケオ州で、職業訓練センターを支援しています。センターで訓練を受けているのは、10代後半の20 名前後。支援は、デザインを現地と共同で考え、オリジナルのシルク小物を作ったり、織物の技術やデザインにアドバイスを行ったりすることだそうです。地球の木のメンバーには手芸の専門家もいるので、会員の関心は高いそうです。支援の目標は、と聞くと、丸谷さんはこう語ってくださいました。「日本で売るのが目的ではなく、カンボジア国内でも観光客などに売れるような、『売れる』製品を作れるようにしたいという思いがあります。貧しい地域なので、そういった職業訓練を受けることで、手に職をつけ、身を売られてしまったりすることなく、自立できるよう支援しています」。
センターでできた製品の販路をお伺いしたところ、「元々、家庭内暴力を受けていた子どもたちなどが泊まり込みで職業訓練を受けられる場として建設された施設です。販路としては観光客用に細々と売っている、というのが現状です。近くに有名な遺跡があるので、そこに来る観光客をターゲットに売っています」とのこと。「さらに技術が上がり、デザインもよくなれば、商品としてもっと売ることができるので、それを運営資金の足しにできるとアドバイスしています。市場で売れるものをどれだけ作れるかが、これからの課題です」ともおっしゃっていただきました。技術力の向上が、これからの彼らの生活を支えるために必要なのです。

柔軟な援助体制

とはいえ、今までは農業支援などを中心に活動していた、地球の木。なぜ、職業訓練センターの支援を始めたのか、丸谷さんにお伺いしてみました。その答えが、こちらです。「様々なプロジェクトを通じて学ぶことも多様になります。受益者が自分たちで活動していけることを目標としているので、終了の時期を見据えて、区切りをつけています。1つのプロジェクトは3年ごとに継続を検討し、最長9年まで続けることを目安としています。その体験を次に生かしていきます。新しい支援を探していたときに、ネットワークの活動で知り合った男性が、職業訓練センターを支援していて、女性による織物などのデザインのアドバイスが必要といわれたのが、この支援をはじめたきっかけです」。女性会員が多い地球の木の特質が役立つところに、柔軟に関わっていく。それが、地球の木のスタイルなのです。

ネパールでの新しい試み
識字教室にて
識字教室にて

その支援のスタイルは、他の国の現場にも活かされています。
例えば、はじめて現地のNGOと協力して行った、ネパールでの活動。そのきっかけは、丸谷さんいわく「協同組合の視察のため日本に来ていたネパールのNGOの若い女性に地球の木のメンバーが出会い、さまざまな話をするなかでネパールの現状を知り、学校を建てたい」と思ったこと。2年間、そのために日本で資金作りをし、実際に現地に渡ったメンバーが、一番困難な状況にあり、相手のNGOにとって一番必要だと思う活動地を訪ねた後、そこの支援を始めたそうです。場所は、ネパール極西部のタルー族の村。その村では多くの女性が字を読むことができず、紙幣の文字も解せず、貯蓄をする習慣もなかったといいます。そこで、1997年2月に、成人識字教育を開始したそうです。10クラスの教室を設け、それぞれに25~30人の生徒さんが入れたのです。
女性たちは農業や家事などを行うので、授業を行うのは夜。途中で内戦が起こった際には、海外のNGOから支援を受けていることがわかると、金銭を要求される危険もあったそうです。しかし、そんな中でも女性たちはグループ活動を続け、貯蓄などを自主的に行い続けたといいます。そして内戦が終わり、国が民主国家を目指すようになると、次第に村も自分たちの"権利"について考えるようになり、憲法や選挙について話し合うようになったといいます。村全体が、識字率の向上によって自動的に活性化してきたのです。いまではユースクラブもでき、さまざまな場所で若者までもが地域の活性化のために、自主的に動くようになったといいます。

“プロジェクト”ではなく“ムーブメント”を
マンカ=ルタール村は山の中腹にある
マンカ=ルタール村は山の中腹にある

昨年度から、地球の木ではネパールNGO(SAGUN)と共同で、新しい事業もはじめています。それが“幸せ分かち合いムーブメント”。“プロジェクト”という言葉にはネパールの村人にとって、“外部からやってきて、期間限定でドナー主体の事業をやって去っていく”というネガティブなイメージがあるとのことで、「やらされる」「やってもらう」ではなく「みんなでやっていく」ため、そしていつまでも続く運動として、 “ムーブメント”という言葉を使うことにしたそうです。
“幸せ分かち合いムーブメント”というユニークな名前を持ったこの事業の中身は、ネパールの山間地マンガルタール村にある、タマン族の学校の支援です。奨学金の支援と図書室の建設支援を通じ、高校教育を多くの人が受けられるようになるために貧困削減に向けた活動をしているそうです。

マンカ=ルタール村の人たち
マンカ=ルタール村の人たち

「現地のパートナーから、お金の話ではなく、まず村を知ることから始めてほしいと言われたことに、感銘を受けました。そして、村の良い点、改善すべき点を考えました」と丸谷さん。村を知るためには、村人自身が調査から関わることが大切です。奨学生をはじめ若者たちがトレーニングを受け、参加型の村の調査が行われました。今年、その調査に基づいた計画が、村の人たちの参加で作成される予定だそうです。"ムーブメント"は動き出しています。そう、本当に地域に根付いた支援は、もう支援者がいらない、彼ら住民が主体的に起こす"ムーブメント"となるのです。


インタビュー編集後記

一方的な支援だけでなく、村の人達も地域の振興に関わっていく"参加型開発"の構想に惹かれました。また、丸谷さんはご自分の経験を様々な形で国際協力に生かされていて、私自身、これから沢山のことを吸収していきたいなと思いました。
(JANICユース 総務チーム 吉野宮奈)
JANICユース http://www.janic-youth.org/(新しいウィンドウが開きます。)

[インタビュアー]
JANICユース 代表 小堀優井
同マネジメントチーム 伊藤彰子
同総務チーム 吉野宮奈


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