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(特活)開発教育協会 スタッフロングインタビュー前編

『“知る→考える→行動する”で社会を変える』 
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お話をお伺いしたスタッフの方

中村さん
中村絵乃さん (事務局長)

スタッフからのメッセージ

「開発教育は、より社会のことを考えて主体的に行動できるようになるための、教育活動です。いま教材のアイディアはあるのだけれども、資金が足りていません。社会に教材を出して、世界のことをたくさんの子どもたちにいっぱい考えてもらいたいです。」 (中村さん)

開発教育という国際協力

“開発教育”という言葉は、あなたに身近なものでしょうか。「世界の現状を知り、自分たちに何ができるかを考える教育活動」を指す、この言葉。南北格差・貧困・環境・紛争など、地球上で起こっている様々な問題は、私たちの生活と無関係ではない、という気付きを、私たちに与えてくれる、大切な活動です。今回は、この開発教育を進めるNGO、特定非営利活動法人 開発教育協会(DEAR)の事務局長である中村絵乃さんに、お話を伺いました。

広報のための開発教育から、行動のための開発教育へ

DEARの前身である開発教育協議会が設立されたのは、1982年。1960年代にヨーロッパのNGOから始まった開発教育を日本でも広めるため、NGOや国連機関、青少年団体など主に国際協力を進める人々が集まって発足しました。当時は、“開発教育”という言葉を、殆どの人が聞いたこともないという状況。そんな中、開発教育の機関誌の発行をしたり、全国レベルでの研究集会を開催して、欧州の先駆的な事例を発表したり、翻訳によって生まれてきた日本語の開発教育教材の報告をしたりしていたそうです。とはいえ、その頃の開発教育活動は、国際協力の活動資金を集めるためのものが主。支援金を出してもらうために、自分の団体の活動をわかってもらう手段として途上国の状況を伝える、というスタイルが主だったといいます。

参加型のワークショップの様子
参加型のワークショップの様子

しかし1980年代後半から、その姿勢は徐々に変わっていきます。日本が難民の受け入れを始めるなど、社会環境の変化があり“開発教育は、遠いところの人々の問題を伝えるだけというものではない。私たちの生活と無関係ではない”という意識が強くなってきたのだそうです。先進国と途上国の相互依存関係に目が向き、先進国の大量消費、外国人差別などの問題も開発教育の対象となってきたといいます。「ただただ途上国が大変だよっていっても、継続的な興味を持ってもらえない。お金だけあげたって、状況は変わらないし」。その時代の関係者の気持ちを、そう中村さんは代弁します。
そこで、広報ではない開発教育を、という概念が出てきます。ボランティアをしたり、まわりのひとに伝えたり、寄付を目的としないで行動を目的とした開発教育が、意識されるようになります。。1990年代からは、日本独自の開発教育の教材も多く発表されていきます。そして2002年から導入された「総合的な学習の時間」によって、開発教育は「学校で行える環境が少し整った」(中村さん)形となり、これを追い風に更に学校での実施が増えていきます。

開発教育も、地域の特性を活かして

開発教育が広まるに従って、開発教育を広める人々の育成も課題となってきます。そこで開発教育協議会では、外務省の資金的支援を得て1992年から2002年まで、毎年「開発教育地域セミナー」を開催していました。95年からは全国を6つの地域ブロックに分割して年6回開催されるようになりました。2002年度末までに全国43都道府県で、58回の地域セミナーが開催されました。各地域の多様な人材が実行委員会を立ち上げ、セミナーの企画・実施をしたことで、開催後にもそのネットワークは残り、多くの拠点組織を生み出すことになりました。 「途上国のことだけでなく、開発教育は私たちの生活を変えていくことだと考えれば、地域に根ざして進めていくのは当然。地域が持っているつながりはとても大きいですし、その地域で自分がどういうふうに生きていくのかということを考えるには、離せないと思います」と中村さん。そして、「農業が盛んなところは、農業と国際協力をつなげて」というように、それぞれの地域特性にあったイベントを開催したり、教材をつくったりする流れができていったそうです。

実態が試されている、日本の開発教育
小学生を対象にした「100人村のワークショップ」の様子
小学生を対象にした
「100人村のワークショップ」の様子

地域毎の開発教育に特色が出てきたこと、地域の開発教育のプラットフォームが整ったことの他、全国レベルの開発教育のネットワークができたことも、セミナーの大事な成果だと、中村さんは言います。
しかし現在、その果実は新しい局面を迎えています。外務省からの支援で行なっていた「地域セミナー」が一旦終了し、毎年各地域と情報・経験交換をすることが難しくなっています。この状況を「実態が試されている」という中村さん。その中で、DEARに求められている役割も浮かび上がってきているそうです。それは団体によって、最新の開発教育の情報の提供だったり、政府に近い東京の団体としての政策提言の役割であったりとさまざま。ですが、多くの地域、団体がDEARを必要としていて、共に歩むパートナーだと考えていてくれることは、うれしいことだと、いいます。

柔軟な援助体制

とはいえ、今までは農業支援などを中心に活動していた、地球の木。なぜ、職業訓練センターの支援を始めたのか、丸谷さんにお伺いしてみました。その答えが、こちらです。「様々なプロジェクトを通じて学ぶことも多様になります。受益者が自分たちで活動していけることを目標としているので、終了の時期を見据えて、区切りをつけています。1つのプロジェクトは3年ごとに継続を検討し、最長9年まで続けることを目安としています。その体験を次に生かしていきます。新しい支援を探していたときに、ネットワークの活動で知り合った男性が、職業訓練センターを支援していて、女性による織物などのデザインのアドバイスが必要といわれたのが、この支援をはじめたきっかけです」。女性会員が多い地球の木の特質が役立つところに、柔軟に関わっていく。それが、地球の木のスタイルなのです。

先生たちのよりどころに

今年で26週年を迎えるDEAR。現在の活動内容は、開発教育の教材づくりやワークショップのプログラム作成、開発教育の講師派遣、NGO職員や学校の先生たちへの開発教育の研修、政策提言、ネットワークづくりと多岐にわたっています。最近では、韓国で開発教育のワークショップをしたり、欧州の会議で最新の傾向を把握したりといったグローバルな流れも出てきているそうです。
その中でも、開発教育を広める人々とのコミュニケーションには、力を入れているといいます。その理由は、「30人の先生たちが30人の生徒たちに伝えてくれたら、一気に広がりますよね」と中村さん。「リソースがあっても、思いが強すぎると教育の現場に行った時に伝わらなかったりする」ので、NGOスタッフや先生たちが、お互いに客観的なアドバイスをしあう場を設けたりもするそうです。そして、そのような場の存在意義を、こう語ってくださいました。「先生たちが、なかなか一人で開発教育を広めるのは大変なので...。DEARのセミナーに来るといろいろNGOの人がいたり、若い人がいて刺激的みたいなんですよね。DEARが、居場所になっているのかなと。」DEARは、開発教育関係者が研鑽しあう場であるとともに、心のよりどころでもあるのかも知れません。その実、中村さん自身、DEARをこう形容しています。「こういう仲間がいるから、この問題をどうしようかとか、これを生徒にどうやって伝えようかとか(話せる)。とても良いネットワークだなと」。

“開発教育”という言葉のジレンマ

定着してきたかのような、“開発教育”という言葉。しかし、そこには今も多くの問題があります。まず、この言葉自体が難しい、わかりにくいという問題。「開発というと、経済的な開発を連想してしまうので。...私たちが目指しているのは、そうではない」。中村さんは、そうジレンマを語ります。イギリスでは、代わりに“持続可能な社会のための教育”“地球的な視野を持った教育”という言葉を使うこともあるそうです。  更に、学校に入るときには、“開発教育”でなく、“国際理解”と言わないと伝わらない、という問題もあります。「文部科学省のいう「国際理解教育」は、『国際感覚』のある日本人を育てるということ。そうではなくて、もっと広い意味での地球人を育てたい。国際「理解」にとどまらず、地球的課題を考え、「行動」できる人を育てたいな、と。と考えると、批判を覚悟で開発教育という言葉を、私たちは使わざるを得ないのかなと思っています。」。  2002年に設立20周年を迎えた際には、名称を“開発教育協議会”から“開発教育協会(DEAR)”に変更し、「協議」をする団体から、包括的に開発教育を進める団体であることを、団体名でも明らかにしたDEAR。これからも日本の開発教育の一翼を担う団体として、理想の開発教育を求め、奮闘は続きます。


インタビュー編集後記

日本の開発教育の歴史と共にある、といっても過言ではないDEAR。先駆者の常として、その道には多くの既成概念や慣習などの壁が立ちふさがっていたことでしょう。しかし、社会の潮流を読み、同じ志を持つ仲間を大切にすることで、それらを感じさせない程にDEARさまは大きく発展しています。
人を育てることを目的とする団体が、本当に人を育てて活かすことによって伸びている。その歴史や存在が、そのまま日本の開発教育のモデルとなりうるDEARさまは、本当に素敵です。
(JANICユース 代表 小堀優井)
JANICユース http://www.janic-youth.org/(新しいウィンドウが開きます。)

[インタビュアー]
JANICユース 代表 小堀優井
総務チーム 清水菜保子
マネジメントチーム 伊藤彰子
[編集協力]
同マネジメントチーム 小松崎瞳


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