『子どもたちの笑顔を大切にしたい』
お話をうかがったスタッフの方
総務・経理担当 一寸木(ちょっき) 純子さん一寸木さんからのメッセージ
「国際協力はすごく難しいものではなくて、ちょっとしたきっかけでできるものだと思うんですね。国際協力しよう!という強い意志でなくても、私はいいと思っています。自分がちょっと頑張っていいこと、嬉しいことがあったから、それを他の人とも共有したいなという気持ちで、じゃあカンボジアの子どもたちと共有したいなと思っていただけるとうれしいですね。織物にしても、手に取っていただいて、カンボジアの女性と繋がっているんだなぁと実感してもらえるとうれしいです。寄付は金額ではないと思うんですよ。毎月、何十円でも何十年も続けてくださっている支援者の方もいらっしゃいます。例えば、子どもたちの給食への寄付は1食20円からという敷居の低いものになっているので、少しでもカンボジアを感じてもらうために1歩を踏み出してもらえたらと思っています」。
"Children, Our Future, 今日の子どもの幸せが明日の平和な世界に繋がります"。その理念を持ち、カンボジアで子どもたちが安心して暮らせる環境づくりと、女性の自立を支援する活動に取り組んでいる団体があります。今回は、その幼い難民を考える会(Caring For Young Refugees:CYR、以下CYR)で総務・経理に携わっていらっしゃる一寸木 純子さんに、お話を伺いました。
一緒に考えていくこと
1980年、CYRの活動はタイ国境近くの難民キャンプから始まりました。インドシナ難民が生き抜くために生活をしているその環境は、とても苛酷だったと言います。「当時は大人も生きるのに必死で、子どもが置き去りの状況だった。」、と当時のスタッフから聞いたことがあります。でも、そんな厳しい環境の中であったからこそ、子どもたちは未来への希望、そのものだったんです。それを見た当時のスタッフの『この子たちの笑顔を大切にしたい』という想いから、CYRはカンボジアでの保育活動をスタートさせました」。それから、来年の2月で30年。今ではCYRの活動は保育事業から織物事業、そして国内活動まで多岐に渡ります。
「1993年にはもうカンボジアでの難民キャンプはクローズしています。難民がいないのになぜ団体名を変えないのか、どうして「考える」会なのかと聞かれることがあります。その由来は、子どもは大人の付属としてではなく、ひとりの人間として捉え、また、子どもたちを「助ける」のではなく、一緒に子どもたちのことを考えていこう、という方針があるからなんです」。そう、一寸木さんは話してくださいました。

保育所の子どもたち、シーソーに乗って楽しそう(C)小林正典
5歳の笑顔が未来をつくる
CYRが最も力を入れているのは、保育事業。幼児期の子どもたちを重点的に支援しているといいます。どうしてなのでしょうか。「幼児期は、とても大事な時期なんです。多感な時期で、コミュニケーションをすることで人と接する能力を磨いたり、いろんなものを見てこれは何だろうと疑問を持ったり。日本で5歳といえば幼稚園に行っているかもしれませんが、カンボジアでは、12人に1人が5歳までに亡くなってしまうという厳しい現実がありますので、この年齢の子どもたちへのケアに重点を置いています。また内戦が続いていたということもあって、幼稚園が無かったり、先生がいないところも多いです。そこでCYRでは保育者への研修も行っています。」

新しい文字表を先生方に配布しました。(C)小林正典
「おいしかったよ」でみんながうれしい気持ちに
CYRの保育事業では、約800人の子どもたちへの給食の提供も行われています。誰もが幼い頃は楽しみであった、給食の時間。カンボジアの子どもたちはどのように過ごしているのでしょうか。「みんな、自分でお皿を持ってきますね。今までお母さんたちは、その日食べるものが無くて困っている。と言っていたんです。でも給食が始まってから、子どもが『ただいま。今日も給食おいしかったよ』と家に帰ってきて言うのがうれしいんです、と言ってくれますね。最初は痩せていた子がだんだん太っていくのを見るとうれしいです、と話していました。こんな風に家に帰って、子どもが家族に保育園での生活を伝えることで、保育園に行ったことがないお父さんやお母さんにとっても、保育への理解が深まると思うんですよね」。目に見える変化を、一寸木さんは、うれしそうに話してくださいました。

給食を食べる子どもたち。今日の給食もおいしいね。
(C)小林正典
循環して届く気持ち
カンボジアだけでなく、国内でもCYRは活動しています。その中でとてもユニークなのが「みんなで布チョッキン」。これはカンボジアの保育所に遊具が無いということ、それから国際協力として日本でも自分たちでなにかできないかということを考えたときに、できたプロジェクトなのだそうです。
「まず、日本でボールや人形の形に合わせて布を切ってもらい、それを1つずつ束ねて、CYRスタッフがカンボジアへ送るんです。それを子どもたちのお母さんに渡して縫い合わせてもらって、さらに出来上がったものを保育所の先生たちに渡して遊び方の説明をして、子どもたちに届くんです。参加していただいた方には、子どもたちに届いたことを知らせる報告書を送っています。こんな風にいろんな人の手を渡りながら循環して、遊び道具が子どもたちに届くというプロジェクトなんです。毎年、様々な企業や学生の方々に参加していただいて、ボールを年間で800個くらい子どもたちに届けることができるようになりました。」
この布チョッキンプロジェクトは、現地の子どものお母さんが1つを縫い上げることに収入を得られるため、その収入で子どもの給食費(日本円で1人あたり約20円)が払えるようになるといいます。お母さん方も子どもたちも、とても喜んでいるそうです。

「人形大好き!」新しいおもちゃを手にしてみんなにっこり。(C)小林正典
未来を担う子どもたちのために
現在CYRでは、プノンペンのスラムで、現地NGOが運営する6つの保育所をサポートしています。「いわゆるスラムと呼ばれている場所は、沼地の上に掘っ立て小屋を建ててあるような状況なんです。そこに保育所を開いてきましたが、お父さんお母さん自身が教育を受けていないために、子どもを保育所に行かせるという理解がまだまだ足りないところなんですね。それとともに、プノンペンでは今、高層ビルの建設のブームが来ていて、多くのスラムから人びとが追い出されてしまう状況なんです。スラムにいるみんなが希望をなくしてしまう中で、保育所がこれからの子どもたちに未来を与えられればと思います。同時に、カンボジアのことはカンボジアの人に考えてほしいという気持ちと、自分たちがいなくなった後も活動が継続できるようにという意味で、現地のカンボジアNGOをサポートする形での活動を行っています」。
今では、保育所で先生のための研修や勉強会、料理をつくって子どもたちの栄養について考えるワークショップを行うなど、活動の幅を広げているCYR。これからのCYRの夢を、一寸木さんに伺いました。「幼児教育を、カンボジアに広めることです。まずは保育所を見守っていくことと、僻地での保育所の先生の教育ですね。それから文字に触れる機会を増やしたいと思っています。絵本などを通して、子どもから大人まで広まっていってくれるとうれしいですね」。
インタビューを終えて
保育事業や織物事業など、幅広い活動に取り組んでいるCYRさまのインタビューは、とても興味深かったです。事務所では、カンボジアの女性たちが作ったシルク製品を販売していたのですが、一つ一つがとても細かく作られており、魅力的でした。このような活動があるということを、もっと多くの方に知っていただきたいです。
(JANICユース 広報チームリーダー 石下 由加)
JANICユース http://www.janic-youth.org/(新しいウィンドウが開きます。)
国際協力NGOセンター有志グループ(JANICユース)
広報チームリーダー 石下 由加
総務チームリーダー 吉野 宮奈
編集: マネジメントチーム 小松崎 瞳
参加しているNGOサポート募金
女性の自立支援 まとめて募金
保護が必要なこどもの生活支援まとめて募金
NGO個別募金:(特活)幼い難民を考える会

