「『忘れていないよ』というメッセージ」
お話をうかがったスタッフの方
事務局 中村哲也さん
世の中の不条理を解決していく勉強をしてきたい
中村さんが国際協力に興味を持ったきっかけは、大学浪人中に見たテレビの開発途上国のドキュメンタリーだそうです。「特に紛争地の様子を見て、子どもが傷つけられている様子から世の中の不条理に憤りを感じて、勉強するんだったらそういうことに繋がるようなことを勉強したいなと思いました」。
大学では、福祉を勉強する学部に入った中村さん。
「対人援助という意味では国際協力と通じているかなと思いました。その後より国際協力と関わっていくために、フィリピンで活動をしているサークルに入りました。大学3・4年になって自分の進路を考えた時に、職場として国際協力をやっているところを見てみたいなと思いました。自分の専攻の勉強とそれまでの活動経験から『子ども』・『心理』・『国際』という3つのキーワードが自分の中にありました。そのキーワードを元にインターネットで検索をしたら、パレスチナ子どものキャンペーンの情報にたどり着いたんです。」
大学4年からパレスチナ子どものキャンペーンでボランティアをすることになったそうです。またここには、紛争地域でのドキュメンタリーに衝撃を受けた中村さんの紛争地への思い入れは強さもうかがえます。「ここでのボランティアを開始する決め手となったのは、それまで活動していたフィリピンと違って、支援対象としているのがパレスチナという紛争地域だったからです」。

緊急支援活動の一環で行われる食料配布
ガザの大勢の人たちの生活があるからこそ出てくる問題
紛争地域で活動することに対して、恐怖は感じなかったのか尋ねてみました。すると、「最初はありましたね。友達とか親からも凄く反対されました。でも現地に行くようになってわかったのは、行く人みんなに命の危険があるわけではないこと。戦争や流血がニュースでクローズアップされるために、行ったら誰もが命の危険にさらされてしまうような印象がありますが、問題はそれだけではなく、パレスチナの人たちが軍事占領や封鎖という形で日常的に抑圧されながら、家族のために子どものために生活を立てていかなくてはならないという厳しさ。多くの人が大変な現状の中で生きていかなくてはならないから問題なのだということがわかりました。現地の人の生活に触れ、行ってすぐに殺されてしまうというような不安は感じなくなりました。今でも現地に行くことには不安はないですね」。
また、それまでフィリピンに行った経験から、中村さんは危機管理の重要性も感じていたそうです。「現地の人々の中にどういう入り方をするかで危険というのは全然違ってくる、現地との信頼関係をつくってから活動を始めるのと、何も知らないでぽんとそこに入るのとでは全然違う。どういう危機管理をしていくかというのは非常に大きいと思いますね」。
腰を据えて問題に取り組んでいきたい
ボランティアを始めてから数カ月後、パレスチナ子どものキャンペーンが開催していたスタデイーツアーに参加して、ずっと見たかった紛争地に行く機会を得た中村さん。その時の心境を伺ってみると「よく現地に行って実際に自分の目で見てみないと分からない、っていう感覚があるじゃないですか。でもその時は自分の目で見ても、いまいち分からなかったんですよね。何が問題なのかなかなかピンと来なくって」と意外な答えが返ってきました。
そして、「少し見ただけでは分からない問題だということを痛感して、腰を据えて取り組んでみようと思いました」と続けました。この訪問がきっかけになって、卒業後1年の現地派遣のインターンを経て、正式にスタッフとして働くようになったそうです。

ガザ地区で生活のために廃品を集める子どもたち
現地の人との交流を通して
子どもを支援していきたいとずっと感じていた中村さんにとって、パレスチナの子どもたちとの交流は、様々な苦労の中でモチベーションを保っていく源となっているそうです。
「子どもと触れ合っているときは楽しいし、こちらが元気づけられますね。パレスチナの子どもたちは、外の世界とほとんど交流することがないなかで暮らしているので、僕みたいな東洋人の顔を見るとテレビに出ているジャッキー・チェンがきた、空手やって、とかいって凄く遊ばれるんですよね。自分との交流が、彼らの子ども時代のいい経験になればいいなと思っています」。
また活動の中で、自分と同じように子どもたちのことを思っている現地のスタッフの人や子どもたちの両親や先生との交流も、活動の原動力となっているみたいです。「たくさんの大人があの厳しい中で頑張っているのだから、自分も頑張らないとな、と勇気付けられます」。

幼児と母親を対象にした心理サポート事業
新しいことを身につけ、支援に生かしていく
最後に、中村さんに今後取り組んでいきたいことについてお伺いしました。
「まずは語学をブラッシュアップしていきたいですね。現場では英語・アラビア語共に必要とされていますが、アラビア語は書き言葉と話し言葉が違う難解な言語なので、少しずつマスターしていきたいです。それから、ろう学校の支援をしているために手話にも興味があります。また、最近 "パレスチナの伝統舞踊チーム"を結成したのですが、パレスチナの踊りや歌がなかなか難しくてですね。スキルを上達させて、日本で講演をするときに披露して、文化理解活動もできたらいいなと考えています。あとは中東の暑い現場では体力がものをいうことが多いので、運動をしっかりして、自分の体調をしっかりキープできるような体力をつけていきたいですね」。
色々なことに挑戦していこうとする中村さんのアクティブな一面を聞くことができました。
<インタビューを終えて>
中村さんが支援活動を通して感じた自分の足りない部分を積極的に習得していこうとする姿勢に本人が言う「限界を作らない支援」を追求していく姿が窺えて、とても素敵だと思いました。
(JANICユース 総務チームリーダー 吉野宮奈)
JANICユース http://www.janic-youth.org/(新しいウィンドウが開きます。)
国際協力NGOセンター有志グループ(JANICユース)
広報チーム 権智那
総務チーム 文元恵美
(編集)総務チームリーダー 吉野宮奈

