「『忘れていないよ』というメッセージ」
お話をうかがったスタッフの方
事務局 中村哲也さん
中村さんからのメッセージ
「パレスチナの問題の中で、現地の人々が思っていること・感じていることの一つは、『孤立感』や『忘れないで欲しい』ということです。人がこれだけ殺されているのに、どうして誰も止めてくれないのだろうか。ずっと封鎖が続いているのを、どうして誰も解除しようと声をあげてくれないのか。自分たちは世界から見捨てられているんじゃないか、と思うわけですよ。そういうなかで、『いやそうじゃないんだよ』、と伝えていくことはとても大事だと思うんですね。それは直接な声でもできますし、日本の政府に訴えかけるという形でもできます。お金で具体的な支援の形にして伝えていくというのもとても大事です。ご寄付いただいたら、その方からの『忘れていないぞ』というメッセージもあわせて現地に伝えていきたいです。」
パレスチナ難民の子どもたちに希望を
パレスチナ子どものキャンペーンは、1986年に設立されました。なぜパレスチナ難民の子どもたちに焦点をあてたのでしょうか。
「パレスチナ難民は、1948年には難民になっている人たちのことを指しています。国連の難民条約はその後に制定されたため、彼らは国連等の支援の枠から外されてしまっています。そのような中難民として生まれ育っていく子どもたちに、寝たり食べたりする環境を確保するだけではなく、希望を与えていけるような支援をしたいと考えました」。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の統計上では、世界中の難民の約25%もがパレスチナの難民なのだそうです。

レバノンでの補習クラス
子どもたちの元気が活かされる場所を
パレスチナ子どものキャンペーンは、パレスチナ自治区のガザやヨルダン川西岸、レバノン国内のパレスチナ難民キャンプで、 子どもたちへの支援を行っています。破壊されたり、封鎖されている地域の子どもたちに希望を与えたい、という意思は、2006年6月にガザ地区にオープンした"ナワール子どもセンター"にも強く表れています。
ナワール子どもセンターは、学校で行われていない文化活動や学校教育の補習を行う場所として建てられました。「子どもたちの中には、学校があまり楽しくないっていうイメージがあるんですね。例えば子どもの人口が多いパレスチナでは、生徒が一教室に50人ほど詰め込まれて、それでも数が足りないので午前と午後の二交代制になっています。そうなると授業時間も足りませんし、体育や音楽、図工といった教科やクラブ活動に参加する機会もありません。ガザが封鎖されて、学校でも家でも新しいことや楽しいことが何もないなかで、ストレスをいっぱい溜めてエネルギーが有り余っています。子どもセンターでは、伝統舞踊、スポーツ、音楽、演劇、工作などの活動に、子どもたちは元気いっぱいに参加していますよ」。
その雰囲気作りの秘訣は、"参加型"という子どもたちの主体性を重んじるところにあるようでした。「ここでは、子どもたちが主役です。彼らが周囲の仲間と楽しく活動を作っていくというのが重要だと思っています。例えば昨年末、新型インフルエンザが流行した時に、インフルエンザの予防について学習していこうとなったのですが、色々な案を子どもたちが出し合った結果、皆で演劇を作っていくことになりました。」
また、子どもセンターは青・黄土色の建物で、それはガザの砂浜と土と地中海を表しているそうです。「"可哀そうな人"としてパレスチナの人たちを届けるのではなく、ガザの美しい姿を表すことで、彼らが持っているきれいな感覚をアピールしていこう」という思いからデザインされたそうです。

青色と黄土色の子どもセンターの外を駆け回る子どもたち
限界を作らない支援
パレスチナ子どものキャンペーンは、他にも緊急支援、教育、保健、人権など、様々な支援活動を行っています。1992年には、ガザで初の聴覚障がい者のための施設「アトファルナろう学校」が設立されました。15年以上続いているこの学校は、スタッフ・生徒ともに設立当初より大幅に増え、施設も充実しています。ガザは2008年の12月27日から始まったイスラエル軍の激しい空爆でぼろぼろになり、貧困状態にもあります。そんなガザでもこの学校の中は、別世界のようにきれいで楽しい空間です。「聴覚障がい者だからだとか、ガザだからだとかその限界を決めるようなことはしないで、『できる限りいい教育を』という思いで現地の人たちと協力をしてきた結果なのです。」と中村さんは語ります。
2009年8月には、農業事業にも取り組み始めました。中村さんは「まずは自分たちが食べる農産物を作れるようになることが目標ですが、さらに余剰生産物ができるようになれば、加工食品などを作ることも可能になるし、ガザの経済を活性化させる源にもなると思います」と言います。農業に関しても様々な可能性を追求していきたい思いがあふれていました。

制服を着て、先生と手話で会話するろう学校の生徒達
<インタビューを終えて>
インタビューを聞いていて、封鎖されているガザ地区の方々や難民として一生を過ごす、パレスチナ難民の方の孤独が痛いほど伝わってきました。またそのような状況のなかで生きていく子どもたちに希望を届けていくにはどうすればいいかを、常に追求していくパレスチナ子どものキャンペーンの支援の姿勢が、うかがえました。その活動を今後も続けていくことによって、これからもパレスチナの方々を勇気づけていって欲しいです。
(JANICユース 総務チームリーダー 吉野宮奈)
JANICユース http://www.janic-youth.org/(新しいウィンドウが開きます。)
国際協力NGOセンター有志グループ(JANICユース)
広報チーム 権智那
総務チーム 文元恵美
(編集)総務チームリーダー 吉野宮奈

