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はいいいえ

学校法人 アジア学院 スタッフロングインタビュー前編

『農村のコミュニティーで、“共に生きる”ことを伝え続ける』
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お話をお伺いしたスタッフの方

中村さん
中村満さん
(補助活動部 那須セミナ―ハウス主事)

スタッフからのメッセージ

「いただいた募金は、アジア学院の学生のため、学校運営のために使わさせていただきます。世界にはいろんな人たちがいて、大変な状況がありながらも生きている。その人たちと“共に生きる”ために、皆さんと一緒になにができるかを、一緒に考えてきたいですよね。アジア学院にも、ぜひ来ていただけたらなと思います。」(中村さん)

自給自足の有機農業を通して、いのちと食べ物を大事にする世界をつくりたい

食べる、ということに対して、みなさんはどのような考えを持っていますか。朝、昼、夜。それは何気なく食べているものかもしれません。でも、それらは確かにいのちであり「いただいている」ものでもあります。
生きていくためには欠かせない「食」。その食を世界中の人々が笑顔で食べることができるようにするために活動している団体、それが今回ご紹介するアジア学院です。「自給自足の有機農業を通して、いのちと食べ物を大事にする世界をつくりたい」。そう話すのは、補助活動部 那須セミナ―ハウス主事の中村満さんです。今回は、この中村さんにお話をお伺いしました。

アジア学院
アジア学院
“農業”開発ではなく、“農村”開発を学ぶ
田植え:毎年学生、ボランティア、職員総出で行います。
田植え:毎年学生、ボランティア、
職員総出で行います。

アジア学院は東京都町田市にある鶴川学院農村伝道神学校に設置されていた「東南アジア科」が母体となり、1973年に栃木県那須塩原市に設立されました。東南アジア諸国で、すでに農村開発に携わっていたキリスト教会とキリスト教団体の要請に応えて、欧米のキリスト教会と援助団体の支援を受けて、途上国の農村開発に携わる専門職員を養成する国際機関として発足しました。
アジア学院の事業は、9か月間に渡りアジア・アフリカの農村から来日した約30名の地域の指導者的立場にある人々に、有機農業や畜産を軸とした農村開発の学びを提供することです。ここで重要なのは、ここでの学びが"農業"開発ではなく、“農村”開発だということ。「農村のほうが、農業より(概念が)もっともっと広い。それらを包括するようなカリキュラムを組んでいます」と中村さんは語ります。その理由は、アジア学院が目指す“卒業後に自分のコミュニティーに戻って、彼らのことばで開発をしていくことを可能にするための教育”には、農業だけでなく、農村全体を見て、コミュニティーをつくっていく能力、つまり指導力が不可欠だということです。「アジア学院でコミュニティーの何たるか、リーダシップの何たるかを学んで、地元に帰ってそれを活かす。(農業の)スキルだけでなく、一人一人のスピリットが大切」。中村さんは、言います。

焼森林実習:下草刈りや枝打ちを行うことによって森林を守ります。
焼森林実習:下草刈りや枝打ちを
行うことによって森林を守ります。

アジア学院のその姿勢は、実習を中心に組み立てられている学院の日々のプログラムに表れています。それは、50種類以上の野菜の栽培や、乳牛、鶏、豚、魚の飼育を皆で行なう毎日。アジア学院でいわば“小さな農村コミュニティー”を体験することによって、実践的な力がつくのだといいます。
更に、それらの実習の間に挟まれるようにして、農薬の危険性や化学肥料などの農業に関することから、プロジェクトマネジメント、コンフリクトマネジメント(平和構築)、リーダーシップ、ジェンダー、公害、環境、マイクロファイナンス、栄養、保健、参加型農村調査法、非暴力コミュニケーションなど多くの座学の講義が組まれています。「農村開発に必要なものは、網羅していますね」(中村さん)という充実ぶり。農村指導者として持つべきマインドをしっかりと育成していきます。例えば、科目の一つである「リーダーシップ」。「アジア学院のリーダーシップは、“仕える指導者”。人々に仕えていくリーダーシップが、アジア学院のスタイル。これが一番大事なクラスです。...スキルではなくて、もっと基礎的な部分」。真に、農村の人々を人々のために考え、共に行動することのできる能力のある指導者を育てるのです。

収穫の喜びは、すべてを超える

様々な国から来た学生が集うアジア学院で、学生たちが1番幸せな瞬間。それは、収穫の時だといいます。「みんなで田植えして、どろどろになって。で、それは来年の学生のために、みんなやってるんだからねって、言うんですよ。今ご飯が食べられているのは、去年のご飯なんだから。去年の学生があなたたちのために植えてくれたんだよ、次の世代のために、田植えはするんだからって」。
みんなでやった成果が出る収穫は、とにかく楽しい!という表情で、中村さんは続けてこうも言われました。「そういった、みんなで何かをやる、同じ思いをみんなで共有していくということをすれば、宗教や言葉の違いなんて超えちゃえるんですね。それも、実感としてわかっちゃう。」。民族間の争いや身分差別のある地域から来た学生たちも、コミュニティーの誰もが"みんな一緒"だと思える瞬間がそこにはあるのです。

収穫感謝の日(HTC):一年の様々な恵みを感謝して、共にお祝いします。
収穫感謝の日(HTC):
一年の様々な恵みを感謝して、
共にお祝いします。
  収穫(Rice harvest):今年収穫したお米は来年度の研修生へのプレゼントです。
  収穫(Rice harvest):
  今年収穫したお米は来年度の
  研修生へのプレゼントです。
何よりも大事なものはハート

途上国の団体から推薦を受けて集まる、アジア学院の学生たち。選考については、おおよそ300名からの問い合わせに始まり、最終選考では25~30名に絞り込まれます。アジア学院はどのようにして学生を選抜しているのでしょうか。「小論文を書いてもらうんです。(団体、その人の理念が)アジア学院の理念と一致しているか、その人がどんなモチベーションを持っているのか、地域がどんな状況なのか、などの項目があって、スタッフはそれを読み込みます。それで、この人の言葉は本当に心から出ているものか、この人だったら、アジア学院でトレーニングを受けるにふさわしいのでは、ということを議論して決めます」。
そこで、アジア学院にふさわしいのはどんな人なのか、中村さんに聞いてみました。すると、お答はすぐ。「ハートですね。何か個人の生きざまの中で、何か訴えかけてくるものがあるか、ということ」。人々のための指導者に 何よりも必要なのは、熱いハートなのです。

“初めて人間扱いされた”ことがうれしくて泣いた学生

そのような熱いハートを持った生徒たちが集まり過ごす中で、中村さんが心を揺さぶられたことは数多いといいます。例えば、バングラディシュからの学生のケース。アウトカースト(カースト社会において外れた存在として 虐げられている存在)であったため、働いてもこれまで人間扱いをされたことがなかったのだと言います。日本に来た日の夜、彼女は“初めて人間扱いされた”と言って、アジア学院のベッドで泣いたそうです。
「彼女にとって、アジア学院ってどうだったのかなと。9か月経ったらまた、元の大変な状況に戻らなきゃいけないわけでしょ。アジア学院で受けた衝撃を、どのように彼女の人生に活かしていくのか。その衝撃がよかったのか悪かったのかということは、追跡してみないとわからない。でも、人間の中にそういう差別はないんだ、ということをわかってもらえたかな。」中村さんは、そう当時を振り返ります。
“共に生きる”世界に立ちふさがる困難を学生たちは、アジア学院の生活と母国での生活を比較することで感じてしまう。でも、それを打ち破るための視点も、学生たちはアジア学院から学ぶのです。

一期一会、だけど強い絆
卒業生を訪ねる旅(スリランカ Study Tour):卒業生の活動地をアジア学院後援会のメンバーと一緒に訪問します。
卒業生を訪ねる旅(スリランカ Study Tour):
卒業生の活動地をアジア学院後援会の
メンバーと一緒に訪問します。

誰もが9ヵ月後には母国に帰らなければいけない、アジア学院の学生たち。「こればっかりは、本当に一期一会なんですよね。例えば、カ メルーンからの生徒とネパールからの生徒は、多分もう会えない。はじめっから、それは分かり切ってるんですよ」と中村さん。約50カ国 に散らばる、1100名ほどの卒業生たちは、つながりを保つ場としてARIGA(アリガー)という卒業生の集まりを各国につくることも多いのだ といいます。 また時には、卒業生を訪ねる旅も企画されます。「私たちも励まされるんですね。『おお、こんなに頑張ってんのか』と。アジア学院で 楽しそうにやってたけれど、実は本当に大変なんだなということも凄く分かるし、実際に一生けん命やってるということで、凄く励まされ る。彼らも、日本から来てくれたということで、凄く励まされる。お互い、いい刺激になりますよね」。 例え一期一会でも、ずっと続く“共に生きた”コミュニティーの絆が、アジア学院の中には数多く息づいているのです。


インタビュー編集後記

みんなで協力することが大事、平等であることが大事。そのような言葉を使って教育されてきた人は、とても多いと思います。でも、それらを言われた時、その大切さを十分に理解していた人は、どの位いるのでしょうか。本当にそれらの大事さが分かるのは、その意味を痛烈に実感させられる経験が自身に降りかかってきた時ではないか、と感じます。
母国で指導者になった時、学生の皆さんが思いだすアジア学院で重ねた日々は、彼らの何よりも大事な心の拠り所の一つであるはずです。皆が"共に生きる"ための社会をつくる人々にとって、最高の経験を作り続けているアジア学院。その意義は、計り知れません。
(JANICユース 代表 小堀優井)
JANICユース http://www.janic-youth.org/(新しいウィンドウが開きます。)

[インタビュアー]
JANICユース 代表 小堀優井
広報チーム 野元由実
[編集協力]
同マネジメントチーム 小松崎瞳


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