『アフリカ市民の声を知り、考え、伝える』
お話をお伺いしたスタッフの方々
![]() 斉藤龍一郎さん(事務局長) |
![]() 三宅紗知子さん (国際保健部門コーディネーター) |
スタッフからのメッセージ
「人との繋がりの中で、1人1人が持っている力を出していくことのできる環境づくりに、寄付を使わせていただきます。また、新しい課題である在日アフリカ人支援にも、取り組んでいきます。」(斉藤さん)
アフリカを知り、考え、伝えるNGO:AJF
今回、インタビューに訪れたアフリカ日本協議会(AJF/Africa Japan Forum)は、アフリカの現状を知り、考え、そして伝えることに重点をおく、いわゆる『政策提言型』のNGOだ。これまでこのコーナーで紹介した物資支援や現地滞在型支援をおこなう『現場型』のNGOとは違った見方で、国際協力に向き合っている。
AJFの活動目的は、「場をつくること、意見交換の機会をつくること」と事務局長の斉藤さんは言う。なかなか一般の方には理解されにくい『政策提言型』NGOの活動だが、その原点は、「声をあげている人、でも伝わらない人々の声を、伝えること」だ。
アフリカの声を伝えるための、転機の連続の歴史

テレビ局取材。感染症対策への
支援拡大を訴えた。
では、AJFは実際にどのような活動をしているのか。設立のきっかけは、1993年10月東京で開かれたアフリカ開発会議(TICAD)だ。「日本社会に、アフリカの市民社会が伝わってない」という思いから、この際に民間の手でアフリカシンポジウムが開催され、アフリカの人々の地域自立の取り組みが報告されたのだという。以降「アフリカの現状を、市民社会の声を通して知る」というコンセプトのもとに、毎年1つ大きな課題を決めて活動を行った。
例えば、1994年にルワンダで大虐殺があったことが報じられた後、「ルワンダに何が起きたのか、伝わってこないから調査をしよう」と現地に赴いた。日本人が現地に入ったのは、1年半ぶりだったそうだ。その結果、アフリカ平和再建委員会が誕生した。翌1995年には、ジンバブエにおける農村と女性の役割について、1996年には砂漠化問題についてのシンポジウムを開催。1997年から1999年にかけてはアフリカとカナダのNGOとパートナーシップを組み、西アフリカでネットワーク調査を実施。精力的な活動を続けた。
そして1998年から1999年にかけて、AJF最初の転機が訪れる。「アフリカで課題に立ち向かう人々に学び、伝える」という理念に立ち返り、ワーキンググループ(何か問題や課題が発生した際にその解決のために特別に組成されるチーム・実務部隊のこと)単位での活動を主軸とした活動体制をとることにしたのだ。アフリカNGOのキャパシティービルディング(組織強化)、スタディーツアーなどを行ったという。「ワーキンググループとして活動していたり、1つの団体として活動していたり、AJFは変化の時期が多々ありました。出来上がったものを見ると全てが見えるけど、作っている最中は何も見えない。僕自身、行動を起こしたら何かが変わると思って活動しているんです」と、斉藤さんは当時を振り返った。
2001年頃、転機は再び訪れる。ワーキンググループによる活動では対応できない国際保健分野で活動するNGOのキャパシティービルディングや、食料安全保障の研究会を実施するようになったのだ。そして、保健医療と食料安全保障の政策提言に強い、現在のAJFが創られていく。更に、在日アフリカ人対象のエイズ啓発活動、エイズを発症した在日アフリカ人の帰国支援の取り組みなどの国内活動も手掛けるようになり、現在まで続いている。
「ほっといていいんですかの後に、ほっとかないために何とかしようっていう人」に向けて

アフリカンキッズクラブ
(在日アフリカ人支援活動)にて
AJFが、アフリカを考える際に大切にしていることは、何なのだろうか。斉藤さんに伺ったところ、「あくまで僕の観点」ということで、下記の2つのお答えをいただいた。
AJFは2001年からアフリカのエイズ問題を追い掛け始めました。僕自身は最初、代表の林さんがやるんだというからやる、という感じだった。でもそこで、2つのことを感じた。
1つは、医療畑とか、援助畑の人の声は聞こえても、当事者の声はなかなか伝わってこないこと。これは面白くないなと思った。どっか一方の、いわばおっきな声を出せる人たちの仕組みがあるじゃない。そこの声しか伝わらないんであれば、何か違うんじゃないのって思うよね。それが1つめ。
2つめは、伝わり方っていうのはいろいろあるんだろうけれど、ものすごくはっきり数字に出てくるもののひとつに、平均余命がある。日本ではいま、80歳くらいまで生きるのが普通ですね。でも今ザンビアでは、32.8歳。エイズなどが大きな影響を及ぼしている。この違いを、ほっといていいんですかってことなんだよね。でもじゃどうしろっていわれて、困っちゃう人も、沢山いると思うんだよね。それで、ほっといていいんですかの後に、ほっとかないために何とかしようっていう人を対象として、活動をしている」。
「声を上げている。けれど、上がっていないところに力を感じる。励まされる」。AJF代表の林達雄さんは、エイズ患者についてこう言うのだと、斉藤さんはいう。アフリカ市民の声を、ほっておかない。これは、AJFスタッフに一貫した思いなのだ。
NGOの提言活動の実態

TICAD後の記者会見。国内外の
メディアを通して市民社会の声を
伝える。
では、実際の活動として、どのように提言をつくっているのだろうか。「提言は、会議を設けて、いろんなNGOの人たちと相談して、一緒につくります。それで政府や市民社会の人たちに共有するための文書をつくり、記者の方々に伝えるための場をつくり、と進んでいきます」。と、政策提言を担当する三宅さんは言う。「ミーティングが多いんです。リアルタイムで日々いろいろなことが動いていて、そこでNGOの声として何を一番に届けるか、ということを相談してまとめなければいけないので」。慌ただしい担当者の日常が想起される。
ところで、その提言は実際に政策に反映されているのか。「反映されている部分もあるし、反映されていない部分もあります。政府も、専門的な知見を持つNGOからの提案を必要としています。世界の市民社会との議論をもとに、政府に提言し、国際社会の潮流を共有することは、継続してその課題に取り組んできたNGOでしかできないこと。政府の方でもその重要性を感じています」。専門性と継続性が、かけがえのないものなのだ。
インタビュー編集後記
様々な利害が絡み合う国際政治の舞台に、「市民の声」を入れるとは、どういうことなのでしょうか。政策決定過程が不透明すぎて、考えるための情報も揃わない、難しすぎる、と思う方も多くいらっしゃると思います。AJFは、この問題にまっすぐに向き合っているNGOです。地道な熱意に裏打ちされた活動を、応援してください。
(JANICユース 代表 小堀優井)
JANICユース http://www.janic-youth.org/(新しいウィンドウが開きます。)
JANICユース 代表 小堀優井
同広報チーム 安西菜穂子
[編集協力]
同マネジメントチーム 小松崎瞳



