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緑のサヘル スタッフロングインタビュー前編

『緑を残していくということ=未来を守るということ』
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お話をお伺いしたスタッフの方

岡本敏樹さん(代表理事)
岡本敏樹さん (代表理事)

スタッフからのメッセージ

「皆様から頂いた募金は、緑を増やし守っていくことに充てたいですね。緑を増やし、守るということは、現地の生活を維持して未来を守っていくことに繋がっているんです。責任を持って、現地の生活向上と未来のために使わせて頂きたいと思っています。ご協力頂ければと思います。」(岡本さん)

緑は生活の場

私達が何気なく目にする緑。家族でキャンプに行ったり、森林浴をしたり、緑は日本にいる私達にとっては憩いの場かもしれません。しかし、国が変われば、緑は生活を守ってくれるもの。強い日差しから守ってくれる木陰を作ったり、熱風や砂塵を和らげる防風林になったりする重要な役割を担っています。 しかし、地球規模の環境破壊が進む中で、そのような緑に守られた暮らしが当たり前でなくなっている場所が既に存在しています。それが、アフリカ中部に位置するチャド共和国、そしてブルキナファソです。この2つの地域に基盤を置き、緑を増やす活動をしているNGO、それが今回ご紹介する「緑のサヘル」です。 「現地の人にとっては、森は生活の場なんですよね。薪や食材をとったりとか。だから、森の減少を、生活が苦しくなってきていると意識している。雨量の変化などで木が減ってきているのは気がついているし、困っている。でもどうしていいか分からない。木の植え方だけではなく、自分たちで森を守ることが出来るという意識を持ってもらうことが、続けていける環境保全につながるのかなと」。そう語る代表理事の岡本さんに、今回はお話をお伺いしました。

村の中にある定期市場
「村の中にある定期市場は直射日光に
さらされていたため、1995年に苗木を
植えました。」
苗木の成長
「家畜による食害を防ぎ、定期的な水遣りを
欠かさず行った結果、苗木は十分な木陰を
提供できるまでに成長しました。」
支援が届いてないところに、何かしたい、と思って

サハラ砂漠を越えた南の地域。ここは、かつて久しぶりに緑を目にしたアラビアの旅人たちによって、"岸辺(サヘル)"と呼ばれました。しかし今、その"岸辺"では砂漠化が進み、人々の生活の糧が奪われています。なぜ、緑の"岸辺"は砂漠化してしまったのか。緑の生育を上回るスピードで人間や動物が緑を消費することと肥料投入の少ない連作によって土地の地力が低下してしまうことが大きな原因、といわれています。
「緑のサヘル」は、このサヘルの土地に緑の"岸辺"を戻すため、1991年の設立より一貫して環境保全活動を行っています。「取り組んでいる国は、チャド共和国とブルキナファソです。特にチャドは、もう17年の活動歴があります。「緑のサヘル」は最初にチャドに入った日本の団体で、活動当初は治安も不安定で慣れるのも大変だったんですけど、今では現地NGOと協力して仕事ができるようになりました。」と当時を振り返る岡本さん。「支援が届いていないところに、何かしたい。一番求められているところに行く」というのが、「緑のサヘル」の活動国の選定基準といいます。「チャドは貧困国でありながら、支援を求める声が外に届きにくい国でもあったんです。内陸国で鉱物資源があるわけでもなく、長く続いた内戦で疲弊し、最も支援を求めているのにそれがなかなか形にならなかった。でも、大変=できない、というわけではないんですよ。しっかりとした考えと覚悟があればやっていけるんです」。
井戸掘削や穀物備蓄支援による生活基盤の整備を進め、現在「緑のサヘル」では両国で育苗・植林支援を行い、チャドでは現地NGO支援を、ブルキナファソでは講習会や組合支援活動を行っています。

ブルキナファソに、木を植える

多くの方にお伝えしたい、「緑のサヘル」が今一番力を入れている活動は?と聞いてみました。「ブルキナファソのコングシ地域での小学校植林支援です。もともとブルキナファソ政府が『1校1林』という目標を掲げて全国規模で推進していたのですが、財政的に困難な状況になり、停滞してしまいました。現状を調査し、コングシ地域の残りの小学校に緑を増やすという支援活動を始めました。40強もの小学校があるので簡単ではありませんが、去年はそのうちの10校に成功して、今年も新たに10校を支援する予定です。
しばしば、活動をした結果、何ヘクタールの緑が増えたかという質問を頂くのですが、それは非常に難しい問題で、何本の木を植えたかと聞かれる方が答えやすいんです。というのも現地では、苗木を植林区に植えるのではなく、住民が植えたいと思うところに植えてもらっているからです。確かに、土地によっては植林に適さなかったり、使える水に制限があったり、また住民の意欲が問われたりしますが、住民の希望する植林を支援するほうが、住民のニーズに対して直接的に応える植林になるし、意欲が続きます。
木を植えることは簡単です。でも、枯れさせないためには、水遣りなどの世話をしなければなりません。そのためには、住民にとって身近な植林を心がけることが大切ですし、また成長した木が『生活にどんな効果を生み出したのか』も大切です。このようなことが、住民の意識に働きかけます。もっと言えば、何本の木を植えたかではなく、何人が植えてくれるようになったかを重要視しています」。

試行錯誤と、取捨選択を経て

こうして順調に活動を拡大されてきたようにも見えますが、失敗もあったそうです。「淡水魚養殖とか、野菜栽培とか。色々なプロジェクトをやりました。でもいっぺんに色んなものを持ち込むと、住民にも生活があるし、キャパシティーを超えてしまう。それで定着しない」。他にも、換金性の高さからアラビアゴムを育てようとしたけれど、条件があわず少量しか採取できなかった等、の失敗が続いたそうだ。
そして、こう言った。「最終的に今残った活動は、試行錯誤と住民の取捨選択を経て残ったものです。取捨選択を経るというプロセスは、どこに行っても一緒ですね」。そして、こんなやり方も。「看板立てて、みんなで一定期間木を切らないし家畜も入れない土地を決めて、緑を保護する。それで実際3・4年後に、緑が増えてきたら、みんな、ああそうなんだってわかる。自分たちがやったことが結果として返ってくる。こういった繰り返しですよね」。
結果が伴わないと住民に伝わらないので、とほほえむ岡本さん。

植林講習会
「ブルキナファソのコングシ地域の小学校で、
教師、小学生、父兄を対象とした植林
講習会を実施しました」
小学校の苗木
「小学校の敷地を囲う塀が無かったため、
境界線上に苗木が植えられました。」
不安定な治安、でも会わない方が不安

チャドではクーデター未遂や反政府武装勢力の活動等、不安定な状態がこの数年続いています。隣国スーダンの関係も、悪化しています。ブルキナファソも、世界最貧国の一つです。その状況は、活動に影響はないのでしょうかとお伺いしたところ、「麻痺しちゃって...。大変だったんだろうけど、あまり実感が...(笑)」というお答え。「現地の人と横で繋がりを持っていれば、何か情報は入ってくる。不安定は不安定ですけど、これはこうなるかな、と予測がついてくるというか覚悟が据わってくるというか。大変は大変なんですけれど、だからといってできないということにはならない。」とのこと。現地の方々との良好なコミュニケーションが、リスクマネジメントにもつながっているのが伺えた。


インタビュー編集後記

一つ一つ、言葉を選ぶように丁寧にお話してくださいました。決して安全とはいえない現場での多くの経験からうかがえる芯の強さを感じるとともに、常に現場の近くにいたいという言葉から、仕事への充実感や謙虚さも感じられました。やはり最も大切なことは、現地の人々とのコミュニケーションであり、技術的なことや物理的な支援だけでなく、その土地の人々の意識に働きかけることである、という言葉は、とても印象的でした。刹那的ではなく、長い目で見て現地の人々の安定した生活を常に考えていることに、本当に感心させられるばかりでした。
(JANICユース マネジメントチーム 伊藤彰子)
JANICユース http://www.janic-youth.org/(新しいウィンドウが開きます。)

[インタビュアー]
JANICユース 代表 小堀優井
同マネジメントチーム 伊藤彰子
[編集協力]
同マネジメントチーム 小松崎瞳


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