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シナジー

2016年4月25日発行

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2015年12月25日発行

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「HAP基準(HAP : Humanitarian Accountability Partnership)」とは?

「HAP基準(HAP : Humanitarian Accountability Partnership)」とは

東日本大震災の支援現場では、刻々と変化する被災地・被災者のニーズに速やかに対応するために、NGO/NPOは現地行政や様々な関係者と協力・調整しながら支援活動を実施することが求められました。普段は海外での国際協力活動をメインとする多くのNGOにとって、国内での災害支援活動は初めての経験であり、かつ、参考に出来る考え方や事例も限られていたなかで、被災地・被災者のニーズに十分対応できたのかといえば、課題も残ります。

NGO/NPOの活動が着実に活発化し、社会からもその役割と実績を認知されるようになるにつれ、その活動や組織の運営における「説明責任」を果たすことへの社会的重要性も高まっています。

では、支援団体が負うべき「説明責任(アカウンタビリティ)」とは何でしょうか。

「説明責任(アカウンタビリティ)」というと、一般的には資金提供者に対して果たすものと限定的に考えられがちです。しかし、支援団体が、それまで関係性のなかった被災地に入って活動を行うとき、その被災地の方々にとっては突然やってきた「部外者」。したがって、その現地の方々に対しても、自団体や活動目的・内容についてきちんと説明を行い、安心して支援を受けてもらうこと、支援する側による一方的な押し付けではなく、被災当事者の意見にきちんと耳を傾けることが、「受け入れられる質の高い支援」の実施には必要となります。

そこで、人道支援を実施する際に、支援団体としての組織の在り方、被災者への説明責任、被災者との関係の築き方などの指針を定めた国際基準として、「人道支援の説明責任(アカウンタビリティ)と品質管理(クオリティ)に関するHAP基準2010」があります。

例えば、 ●スタッフやボランティアが自分たちの組織や活動について、きちんと説明できるようトレーニングを行うこと ●支援団体が一方的に支援プログラムを立案・実施するのではなく、受益者である被災者の方々にもそのプロセスや評価に関わってもらうための方法 ●残念ながらクレームが発生したときの対処の方法

など、支援団体がその志と役割を十分に、そして存分に果たすため、来る緊急支援に備え事前の学習と準備を進めておくことが期待されています。

【参考リンク】
 人道支援の説明責任(アカウンタビリティ)と品質管理(クオリティ)に関するHAP基準2010
 HAP International ウェブサイト